NISA顧客満足度でゆうちょ銀行が1位に 若年層の支持も追い風
2025年8月6日 10時00分更新
株式会社J.D. パワー ジャパンは、2025年の「NISA顧客満足度調査」の結果を発表した。この調査は、銀行や証券会社における新NISA口座のサービス品質や利用実態、顧客満足度を評価するもので、今回で3回目の実施となる。新NISA制度が2024年度からスタートしたことを受け、今回の調査対象は新制度の口座で資産運用を行っている全国の個人投資家に限定されている。
この調査では、全国系銀行部門、対面証券部門、ネット証券部門の3つに分けて評価が行われた。全国系銀行部門では「ゆうちょ銀行」が628ポイントで1位を獲得。取引手数料や情報の分かりやすさ、運用のしやすさ、各種情報提供、問い合わせ対応の5項目すべてで高い評価を得た。2位はみずほ銀行(625ポイント)、3位は三菱UFJ銀行(621ポイント)となった。
対面証券部門では「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が669ポイントで首位となり、前年に続き高い顧客評価を維持している。こちらは7つの評価項目すべてで最高評価を得た点が特徴だ。続く2位は野村證券(634ポイント)、3位はみずほ証券(632ポイント)だった。
ネット証券部門では、「SBI証券」が693ポイントで3年連続のトップを維持した。SBI証券は「取引手数料」と「取扱商品の豊富さ」の2項目で最高評価を受けており、競争が激しいネット証券業界でも安定した支持を獲得している。2位は楽天証券(688ポイント)、3位は松井証券(685ポイント)だった。
今回の調査では、新NISA制度に対する利用者の好意的な姿勢が浮き彫りになった。「保有・運用したい」と回答した人は9割を超え、「新NISA制度に魅力を感じる」と答えた層も同様の水準に達している。また「長期・積立・分散」を意識した資産運用の意向も高く、NISA制度の主旨が着実に利用者に浸透していると言えるだろう。
さらに注目すべきは、30代以下の若年層が全体的に満足度が高く、情報収集に熱心である点だ。彼らは金融機関の選定にあたり、インターネット上の評判(SNS、掲示板、ブログなど)を重視する傾向が見られ、キャンペーンや特典の充実なども判断材料となっている。このようなユーザー行動は納得感のある意思決定をもたらし、結果的に高い満足度に結びついているようだ。
また、インターネットでの評判が良かった金融機関を利用している層の約9割が「知人にその金融機関を勧めたい」と回答しており、今後の新規顧客獲得にも繋がる可能性が高いと考えられる。金融機関にとっては、オンラインでの評判向上がマーケティング戦略上、より重要な要素となっているようだ。
今回の調査では、NISA制度の拡充が投資未経験層や若年層の利用を促進している実態が明らかになった。制度自体の受容度が高いことに加え、利用者の多くが長期的な資産形成に前向きであることが確認された点は、金融庁が掲げる「資産運用立国」の方針とも合致するものだと言える。
J.D. パワーによると、総合的な顧客満足度は「取引手数料」「取扱商品の豊富さ」「情報のわかりやすさ」「運用のしやすさ」など、日常的な使い勝手に直結する要素が大きく影響している。加えて、問い合わせへの対応力や知識の豊富さも満足度を左右するポイントとなっている。
今後、新NISA制度がさらに浸透し、利用者が拡大するなかで、各金融機関はユーザー体験の質をより高めていく必要があると見られる。使いやすさや情報提供の丁寧さといった基本的な要素はもちろん、若年層が求める「納得感ある選択」に応えるためには、ユーザー視点でのサービス強化が欠かせない時代に入ったと言えそうだ。
参照URL:https://japan.jdpower.com/ja/press_release/2025_Japan_NISA_Investor_Satisfaction_Study