ネット証券のNPS調査、SBI証券が1位
2023年12月26日 10時00分更新
業界全体では、資産運用に役立つ情報提供や商品の特性、手数料、リスク等の説明のわかりやすさの改善が期待される結果となった。
ネット証券において対象の証券会社で新NISAを利用したいと回答した割合は対面証券と比較して高くなった。特に、NPS上位2社においては顕著に新NISAの利用意向が高い結果となった。
ネット証券5社のうち、NPSのトップはSBI証券(-5.7ポイント)、2位は楽天証券(-24.2ポイント)、3位は松井証券(-32.2ポイント)となった。業界全体のNPS平均は-30.1ポイント、トップ企業とボトム企業との差は40.7ポイントとなった。
2.業界全体では資産運用に役立つ情報提供や商品の特性等の説明の分かりやすさの改善が期待される
ネット証券業界全体におけるロイヤルティを醸成する要素としては、「手数料とサービスのバランスの良さ(コストパフォーマンス)」や「取扱商品の豊富さ・魅力」といった項目となった。また、「マイページやアプリでの取引のしやすさ」、「マイページやアプリでの資産状況の把握のしやすさ」、「他の金融機関との連携の良さ(入出金のしやすさや金利・ポイント優遇など)」もロイヤルティ醸成に寄与する項目となった。
一方で、ロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「資産運用に役立つ情報提供(世界経済・為替の動き・税制・制度変更等)」や「資産運用に対する期待通りの成果」といった項目となった。また、「商品の特性、手数料、リスク等の説明のわかりやすさ」や「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」といった項目についても、今後の改善が期待される結果となった。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
SBI証券は、「手数料とサービスのバランスの良さ(コストパフォーマンス)」や「取扱商品の豊富さ・魅力」に加え、「他の金融機関との連携の良さ(入出金のしやすさや金利・ポイント優遇など)」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPSおすすめランキング1位につながった。2位の楽天証券は、「資産運用に役立つ情報提供(世界経済・為替の動き・税制・制度変更等)」や「マイページやアプリでの資産状況の把握のしやすさ」において、3位の松井証券は「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「お客様に寄り添う姿勢、お客様の声に耳を傾ける姿勢」において高い評価を獲得した。
NISAの利用状況を調査したところ、対象のネット証券で一般NISAを利用している割合は29.0%、つみたてNISAを使用している割合は20.8%となった。また、ネット証券では対面証券と比較してつみたてNISAの利用率が高いことが分かった。
図:ネット証券と対面証券のNISAの利用状況
2024年より、年間投資上限額の引き上げや非課税期間が無制限となるといった新しい制度のNISA(以下新NISA)が開始される。そこで、新NISAの利用意向を調査したところ、ネット証券において「対象の証券会社で新NISAを利用したい」と回答した割合は44.1%となり、対面証券の28.3%と比較して高くなった。特に、NPS1位のSBI証券と2位の楽天証券においては新NISAの利用意向が顕著に高い結果となった。また、対象のネット証券ですでにNISAを利用している人のうち、引き続き同一のネット証券で新NISAを利用したいと回答した利用者は73.4%となった。
対象のネット証券会社で新NISAを利用したいと回答した人は、そうでない人と比較して「手数料とサービスのバランスの良さ(コストパフォーマンス)」や「取扱商品の豊富さ・魅力」の評価が高くなった。新NISAの商品ラインナップや手数料の魅力が利用意向の高さにもつながっているとみられる。
対象の証券会社から新NISAに関する案内や説明があったかどうかを調査したところ、ネット証券において「新NISAに関する案内や説明があった」と回答した割合は43.0%となった。対面証券においては45.6%となり、ネット証券と比較して大きな差はみられなかった。
また、新NISAに関する案内や説明の有無別にNPSを分析したところ、「新NISAに関する案内や説明があった」と回答した利用者のNPSは-13.3ポイントと、「新NISAに関する案内や説明があった」と回答した利用者に比べて高くなった。ネット証券において、新NISAに関する案内や発信をしていくことの重要性が示される結果となった。
対象の証券会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.5ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均6.3ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となった。
【ネット証券】
調査対象企業(アルファベット順、50音順): auカブコム証券、SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち上記ネット証券会社において過去1年以内に取引経験がある人
調査方法:NTTコム リサーチ*による非公開型インターネットアンケート
調査期間:2023/11/10(金)~ 2023/11/14(火)
有効回答者数:1,944名
回答者の属性:
【性別】男性:71.4%、女性:28.6%
【年代】20代以下:6.5%、30代:17.2%、40代:28.2%、50代:20.8%、60代以上:27.3%