2025年法人向けIP電話顧客満足度調査 KDDIが総合満足度第1位

2025年10月10日 11時00分更新


 顧客満足度調査の国際的専門機関であるJ.D.パワー ジャパンは、「2025年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」の結果を発表した。今回の調査では、KDDIが13年連続で総合満足度第1位を獲得した。業界全体の総合満足度は1,000点満点中614ポイントで、前年から5ポイント低下したものの、大きな変化は見られなかった。法人向けIP電話・直収電話市場は成熟しつつあるが、通信品質やサポート対応など、事業者ごとの取り組みの差が顧客満足度に直結しているようだ。

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 一方、近年テレワークの普及を背景に注目を集めている「クラウド型電話(クラウドPBX)」では、総合満足度が前年比21ポイント上昇するなど改善が見られた。特に「サービス内容/品質」の分野では37ポイントの大幅な向上があり、「障害やトラブルの少なさ」や「通話音質の良さ」といった通信の安定性に関する評価が高まった。また、「障害・トラブル対応」も前年から53ポイントの改善が見られ、「解決までの時間」や「報告の適切さ」、「担当者の理解の早さ」など、サポート体制の強化が評価されている。クラウドPBXの満足度は年々向上しているが、依然として業界平均を下回る水準であり、継続的な品質改善が今後の課題だと言える。

 今回の調査では、PBX(構内交換機)の更新時にクラウドPBXを利用したいと考える企業は全体の21%で、前年とほぼ同水準となった。一方、大企業では32%が利用を検討しており、前年の26%から6ポイント上昇するなど導入意欲が高まっている。すでにクラウドPBXを導入している企業は全体の1割程度にとどまるものの、今後は大企業を中心に利用拡大が見込まれる。しかし、クラウドPBXの導入を検討している企業の3割以上が「通話音質」や「サービスの安定性」に不安を感じていることも分かった。通信品質や障害対応の強化は、今後の市場拡大に向けて事業者に求められる重要な課題だと言える。

 ランキングでは、KDDIが636ポイントで13年連続の第1位を獲得。「サービス内容/品質」と「営業・導入対応」の2項目で最高評価を得た。続いてNTT西日本が620ポイントで第2位、NTTドコモビジネスが619ポイントで第3位となった。KDDIは長年にわたり通信品質とサポート対応の両面で高い評価を維持しており、顧客からの信頼を確立しているようだ。NTTグループ各社も高い水準を維持しており、法人向け通信市場では安定した競争環境が続いている。

 J.D.パワーによる今回の調査は、全国の従業員100名以上の企業を対象に2025年7月下旬から8月中旬にかけてインターネットで実施され、2,436社から3,221件の回答を得た。調査では、サービス利用経験、障害対応、通話品質、料金、サポート体制などの項目を数値化して総合スコアを算出。今回で19回目の実施となる。結果からは、クラウドPBXを中心に法人向け音声通信のあり方が変化していることが見て取れる。

 テレワークの定着により、従来のオンプレミス型PBXからクラウド型への移行が進む中、通信事業者は品質向上と安定運用が求められている。特にAIによる障害予兆検知やネットワーク自動最適化など、最新技術を活用したサポート強化が今後の差別化ポイントとなるだろう。企業にとっても、コスト削減や柔軟な拠点運営の実現が期待される一方で、セキュリティや音声品質の維持が引き続き課題とされている。クラウドPBX市場の成長には、技術革新と顧客対応力の両立が欠かせないと言える。

参考URL:https://japan.jdpower.com/ja/press-releases/2025_Japan_Business_IP_Phone_Direct_Line_Phone_Service_CS_Study

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