半導体製造装置 顧客満足度調査で日本企業存在感

2025年6月13日 11時45分更新


 半導体業界の市場調査を手がけるTechInsightsは、「Global Semiconductor Supplier Award(世界半導体サプライヤ賞)2025」として、半導体製造装置メーカーの顧客満足度ランキングを発表した。この調査は、旧TechInsights Customer Satisfaction Surveyとして1988年にVLSI Researchが開始し、2021年にTechInsightsが同社を買収した後も継続されてきた歴史ある調査で、今年から新名称にリブランドされた。ランキングは、IDM、ファブレス、OSATを含む世界の半導体メーカー2024人の回答をもとに、「Supplier Performance」「Customer Service」「Product Performance」の3観点・14項目に基づいて評価された。

 評価対象は、顧客サービスや製造装置、サブシステム、ファブ装置、特殊チップメーカーなど多岐にわたっており、売上規模により大企業部門と中堅企業部門に分類されている。大企業部門の顧客サービスランキングでは、アドバンテスト(日本)が1位を獲得し、37年連続でトップ10入りする快挙を達成。東京エレクトロン(日)、日立ハイテク(日)、キヤノン(日)、KOKUSAI ELECTRIC(日)などもランクインし、上位10社中5社を日本企業が占めた。

 一方、中堅企業部門では、FormFactor(米)が1位、EV Group(オーストリア)、AMEC(中国)がそれに続いた。日本からは荏原製作所、堀場製作所、樫山工業、ニコンの4社がトップ10入りしており、こちらも日本企業の存在感が際立つ結果となった。全体としては、日本企業が両部門あわせて合計9社がランクインするなど、世界の顧客から高い満足度を得ていることが明らかとなった。今後も、日本勢の技術力と品質の高さが、世界の半導体産業を支える鍵となっている。

 また、近年の半導体需要の拡大と地政学的リスクの高まりを背景に、装置の信頼性やアフターサポートの重要性が増しており、顧客満足度の高さは競争優位性を示す重要な指標となっている。とりわけ日本企業は、長年にわたる品質管理の徹底や、装置納入後のきめ細やかな技術支援に定評があり、こうした姿勢が顧客から高い評価を受けていると考えられる。

 今後、AIや次世代通信、脱炭素化に向けた技術革新に伴い、半導体製造プロセスの高度化が一層進むと予想される中、日本勢の精密なものづくりと現場対応力は国際的にも一層注目されることになりそうだ。ランキング結果は、こうした潮流のなかでの日本企業の競争力を改めて浮き彫りにしていると言えるだろう。


参照元:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20250612-3352044/

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