地方銀行NPS調査―地域貢献とデジタル接点が鍵
2025年9月1日 10時32分更新
NTTコム オンラインは2025年8月27日、地方銀行を対象とした「NPSベンチマーク調査2025 地方銀行部門」の結果を発表した。初の実施となる地方銀行部門調査において、伊予銀行が最も高いNPS(Net Promoter Score)を獲得し、ランキングの1位に輝いた。調査結果からは、地域に根差した融資や協賛、支援といった取り組みへの共感が顧客ロイヤルティを高める重要な要素であること、さらにネットバンキングやアプリなどのデジタル接点の利用がNPS®向上に寄与することが示されている。
伊予銀行が初のトップ、上位3行の傾向も明確に
今回の調査は、17行の地方銀行利用者が対象で、NPSランキングのトップは伊予銀行、続いて西日本シティ銀行、福岡銀行となった。対象17行のNPS平均は-49.0であり、トップ企業とボトム企業との間には28.0ポイントの差が見られた。

業界全体のロイヤルティを醸成する要素は、「企業・ブランドイメージのよさ」や「利用時の安心さ・セキュリティの信頼性」が上位を占めた。一方で改善が期待されるのは、「ニーズを満たす商品のラインナップ」や「担当者の説明のわかりやすさ」、「地域の暮らしを理解した親身な対応」などだ。
NPS1位の伊予銀行は「地域課題の解決への貢献」といった地域貢献性、並びにネットバンキングや公式アプリの使いやすさが評価された。西日本シティ銀行は「資産形成に関する情報提供」、福岡銀行は「お客さまに寄り添う姿勢」と「セキュリティの信頼性」が高評価の要因となっている。
地方銀行の地域社会・経済活性化への取り組み姿勢に対する共感は、ロイヤルティ向上に直結する重要な要素である。顧客に認知された活動では「地域企業や商店街への融資」(21.4%)が最も多く、次いで「地域のお祭りやイベントなどへの協賛」(18.5%)だった。これらの取り組みに「共感している」層のNPSは12.8と、非共感層より大幅に高い。
デジタル接点の利用もロイヤルティに好影響を与えることが判明した。ネットバンキングやアプリ利用経験者は全体の38.3%で、彼らのNPSは-38.1と非利用者より高かった。特に上位3行の利用者に限ると、NPSは-24.9と業界平均の利用者よりも高い。
地方銀行の利用を決める情報源として、「家族・親戚・友人・知人からのお薦め」(32.7%)が最も重要視された。推奨度が高いほど継続利用意向も高まる傾向にあり、「推奨者」の継続利用意向が平均9.6点であるのに対し、「批判者」は6.0点と大きな差を示した。これはNPSが顧客の将来行動を予測する強力な指標であることを裏付けている。
調査概要
レポートURL:NPS®ベンチマーク調査レポート2025【地方銀行】
調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち、上記地方銀行の利用者
調査方法:NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
調査期間:2025/7/15(火) ~ 2025/7/19(土)
有効回答者数:3,682名
回答者の属性:【性別】男性:53.4%、女性:46.6%
【年代】20代以下:13.5%、30代:16.7%、40代:22.5%、50代:19.4%、60代以上:27.9%
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
【地方銀行】調査対象企業(50音順):足利銀行、池田泉州銀行、伊予銀行、関西みらい銀行、京都銀行、群馬銀行、静岡銀行、七十七銀行、常陽銀行、第四北越銀行、千葉銀行、西日本シティ銀行、八十二銀行、広島銀行、福岡銀行、北洋銀行、横浜銀行
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