電力業界NPS調査―大手が新電力を逆転、信頼性とサービスが鍵に
2025年6月27日 09時00分更新
NTTコムオンラインが実施した電力業界のNPS(Net Promoter Score)ベンチマーク調査2025において、これまで新電力が優位に立っていた顧客推奨度において、一般電気事業者(大手電力会社)が初めて新電力を上回る結果となった。
調査によると、東日本部門では東京ガスがNPSが33.0でトップ、西日本部門では九州電力がNPSが41.7で首位に立った。両社に共通するのは、企業やサービスの信頼性に加え、顧客向けサービスの充実度が高く評価された点である。

特に興味深いのは、一般電気事業者と新電力の評価の逆転現象だ。一般電気事業者のNPSは年々向上している一方で、新電力は低下傾向にある。この背景には、一般電気事業者において「企業の信頼性やブランドイメージ」「サービスの信頼性・安定性」の重要度が高まったことがある。一方、新電力では「利用料金の適切さ」への評価が低下し、満足度を押し下げる要因となっている。

業界全体の課題として浮き彫りになったのは、「お客様の声に耳を傾ける姿勢」と「契約者の節電を促進する取り組み」の不足である。これらの項目は今後の改善が期待される分野として挙げられた。一方で、東日本部門1位の東京ガスは、まさにこれらの課題領域で高い評価を獲得している。
環境への取り組みも顧客満足度に大きく影響することが判明した。電力会社のSDGsへの取り組みを「よく知っている」と回答した顧客のNPSは6.6と、業界平均を大幅に上回った。推奨理由として「環境に配慮し、信頼できるサービスを提供している」といったコメントが多く見られ、持続可能性への関心の高まりを反映している。
調査ではまた、NPSと継続利用意向の強い相関関係も確認された。推奨者の継続利用意向は平均9.5と極めて高く、批判者の5.9を大きく上回った。これは、顧客推奨度の向上が直接的に事業の持続性につながることを示している。
電力自由化から約9年が経過し、当初は価格競争力で注目を集めた新電力だが、今回の調査結果は顧客が価格以外の価値をより重視するようになったことを示唆している。信頼性、サービス品質、環境への配慮といった総合的な価値提供が、今後の電力業界における競争の鍵となりそうだ。
参照:NPSベンチマーク調査 電力おすすめランキング
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/energy/
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