PayPay台頭、変わるEC決済の常識 SBペイメントサービス調査

2025年7月9日 11時30分更新


 SBペイメントサービス株式会社が実施した「2025年度版ECサイト決済実態調査」によると、これまで主流だった「クレジットカード決済」が年々減少し、代わって「PayPay(オンライン決済)」の利用が急速に拡大しておりEC決済手段のトレンドに変化が見られるようだ。調査は、全国の10〜80代の男女を対象に、物販およびデジタルコンテンツ・サービスでの決済動向を分析したもので、2018年から継続的に行われている。今回が6回目の実施となる。

 調査期間は2025年5月21日〜6月5日で、物販購入者は2,455人、デジタルコンテンツ利用者は1,857人が対象。よく利用される決済手段としては「クレジットカード決済」が依然として1位(52.2%以上)だが、2018年比で2〜3割も減少している。「PayPay(オンライン決済)」は2位(32.0%以上)、「楽天ペイ(オンライン決済)」が3位(13.3%以上)と続き、スマホベースのQRコード決済が確実に浸透してきている様子がうかがえる。

 興味深いのは、利用している携帯キャリアにかかわらず、「PayPay(オンライン決済)」が各キャリアの自社QRコード決済よりも支持されている点だ。特にソフトバンク系ユーザーでは、「PayPay」の利用率(45.3%)が「クレジットカード決済」(45.9%)とほぼ並ぶ水準となっており、利便性や対応店舗の広さが支持されている背景にあると見られる。

 商品ジャンルごとの決済傾向にも特徴がある。衣類・日用品・食品などの生活関連商材では「クレジットカード決済」が最も多く、次いで「PayPay(オンライン決済)」が2割程度利用されている。また、家具や自動車関連、PCなどの高額商品では「後払い決済」への需要が高まっていることも分かった。デジタルコンテンツ(ゲーム、電子書籍、音楽など)に関しては「キャリア決済」の人気も根強く、フードデリバリーでは「PayPay」の利便性が評価されている。

 決済手段の充実度が購買行動に直結する傾向も明らかになった。「希望する決済手段がない場合、そのECサイトでは購入しない」と回答した人は全体の56.5%を超えており、さらに44.8%以上のユーザーが「他のECサイトや実店舗で購入する」と答えている。これは、サイト運営者にとって決済手段の多様化が売上維持の重要な鍵になることを示している。

 また、ECモールの利用傾向では、「Amazon」と「楽天市場」が圧倒的な支持を集めており、約半数のユーザーがこれらをよく利用すると回答。「Yahoo!ショッピング」も約3割と高い利用率を示した。女性ユーザーは「ZOZOTOWN」「Qoo10」「SHEIN」「Temu」など、ファッション系モールの利用が目立っている。

 2024年と比べた購買行動の変化では、「少しでも安く買えるECサイトを探して購入するようになった」と回答した人が全世代で増加した。20代では「SNS(LINEやInstagramなど)経由でECサイトを利用するようになった」人が15.2%に達し、若年層を中心にSNSとECの親和性が高まっている傾向がある。

 決済手段の選定基準にも変化が見られた。特に20代では「ECサイトごとに決済手段を使い分けるようになった」「手間なく簡単に支払えることを重視する」「ポイント還元やキャンペーンを意識して選ぶ」といった声が多く、利便性とお得感を重視した選択が進んでいるようだ。

 今回の調査結果からは、オンライン決済の主役交代が進行している現状が浮き彫りになったと言える。クレジットカードに代わって「PayPay」や「楽天ペイ」が広がる中、ユーザーのニーズを満たす多様な決済手段の提供が、今後のEC事業の成否を左右するカギとなりそうだ。電子決済を利用する読者にとって、自身の決済スタイルを見直すきっかけにもなりうる調査結果だと言える。

出典元:SBペイメントサービス株式会社
出典元URL:https://www.sbpayment.jp/news/press/2025/20250703_001470/https://www.sbpayment.jp/news/press/2025/20250703_001470/?_gl=1o6bw5z_gcl_au*MTQ4OTI2NjczLjE3NTE5Mjg0ODU.

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