就活生の6割がES作成にAIを活用、最多はChatGPT
2025年8月4日 22時30分更新
新卒大学生向けの就職情報サイト「就活の教科書」を運営する株式会社Synergy Careerが、2025年卒・2026年卒の就活生を対象に「エントリーシート(ES)作成におけるAI利用」に関する調査を実施した。調査によると、ES作成時に生成AIを「利用している」と答えた学生は全体の63.0%に上った。そのうち13.0%が「毎回利用している」と回答しており、「ときどき利用」「半分程度のESで利用」といった回答を含めると、AIの活用が就活生の間で広く浸透していることがわかる。一方で、「AIを使ったことがない」とする回答も37.0%あり、利用の有無は二極化しているようだ。

AIを活用したESの選考通過率にも注目が集まる。「AIで作成したESが半分以上通過した」と答えた学生は全体の86.5%に達し、うち21.4%は「すべての選考で通過した」と回答した。これらの結果から、AIを用いることでESの通過率が下がることはなく、むしろ通過を後押ししている可能性があると言えるだろう。

使用しているAIツールについては、「ChatGPT」が最も多く、利用者の71.4%を占めた。続いて「Gemini」(17.5%)、「就活AI byジェイック」(13.5%)など、就活支援に特化した生成AIも一定の支持を集めている。用途としては「誤字脱字や文法のチェック」(38.1%)、「文章のたたき台作成」(37.3%)、「構成案の整理」(36.5%)などが多く、ESの質や完成度を高めるための補助的な役割としてAIが活用されているようだ。AIに対する印象はおおむね肯定的で、「ポジティブ」「少しポジティブ」と答えた学生は全体の49.0%にのぼる。一方で「ネガティブ」「少しネガティブ」とする回答も22.5%あり、一定の懸念も見られる。肯定的な意見としては「一人で悩まずに済む」(40.5%)、「時間の短縮」(36.0%)、「文章の質が向上する」(34.5%)といった声があった。

反対に、否定的な意見では「自分で考える力が弱まる」(39.0%)、「個性が伝わらない」(28.0%)、「面接で深掘りされた際に対応できない可能性がある」(26.0%)といった懸念が挙げられている。さらに、「人事担当者にAIで書いたことがバレると思う」と答えた学生は55.5%に達しており、AI活用に対して慎重な姿勢を見せる層も一定数存在する。また、自由記述欄ではさまざまな意見が寄せられた。「自分の言葉をブラッシュアップするのに役立つ」「他者視点で客観的に見直せる」といった前向きな意見に加え、「使いすぎると本番の面接で困る」「誰もが使っていて差別化できない」など、課題感を持つ声も少なくない。
このように、AIは就活における心強い味方である一方、使い方を誤れば逆効果になりかねない側面もある。選考通過率の高さや作業効率の向上といったメリットを享受しつつも、自分らしさや論理的な思考力を失わないようなバランス感覚が求められるだろう。この調査で就職活動における生成AIの実態と就活生の意識を可視化されており、今後のキャリア形成支援において重要な示唆を含んでいる。AIをどう活用するかは、単なるテクニックではなく、自身の価値観や目指すキャリアとの整合性を見極める姿勢が求められる時代に入っていると言えるだろう。