トラベルコ、AIでQ&Aが進化 旅行の疑問を賢く解決

2025年6月6日 11時45分更新


 日本最大級の旅行比較サイト「トラベルコ」を運営する株式会社オープンドアは、2025年6月4日、AI技術を活用した新しいQ&A機能の提供を開始した。この新機能は、ユーザーが抱える旅行に関する様々な疑問に対し、より直感的かつ正確に答えを提示することを可能にするもので、旅行計画におけるユーザーエクスペリエンスの向上を目指す重要な一歩となる。旅行業界全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、AIを顧客サポートの中核に据えたトラベルコの新たな挑戦は、業界の注目を集めているようだ。

 これまで、多くのWebサイトが抱えるQ&Aセクションは、共通の課題を抱えていた。従来の検索システムは、入力されたキーワードが、あらかじめ登録されている質問文や関連辞書にある単語と完全に一致、あるいは非常に近い場合にのみ機能する「キーワード検索」が主流だった。そのため、ユーザーが例えば「航空券のキャンセル料について」と検索したい場合でも、「航空券 キャンセル 手数料」や「フライト 変更 料金」といった、少しでも表現が異なると、システムはユーザーの意図を正確に汲み取れず、関連性の低い情報を表示したり、最悪の場合は「該当なし」と返したりすることがあった。このような経験は、ユーザーにストレスを与えるだけでなく、必要な情報にたどり着けないままサイトを離れてしまう「離脱」の原因となり、事業者にとっては大きな機会損失に繋がっていたと言う。

 今回トラベルコが導入したAI活用Q&A機能は、この長年の課題を根本から解決するものだ。新機能の核となるのは、近年の発展が著しい自然言語処理(NLP)を中心としたAI技術だ。このAIは、ユーザーが入力した単なるキーワードの羅列だけでなく、「〇〇に行きたいのですが、おすすめの時期はいつですか?」といった自然な文章(話し言葉)の文脈や意味を深く理解することができる。システムは入力された文章の構造や単語間の関係性を解析し、その裏にある「ユーザーの真の意図」を推測する。その上で、トラベルコが保有する膨大なQ&Aデータベースの中から、表現が完全に一致していなくても、意味的に最も関連性が高いと判断した質問と回答を複数提示することが可能になったと言う。これにより、ユーザーは思いついたままの言葉で質問を投げかけるだけで、自己解決に必要な情報へとスムーズにたどり着けるようになる。これは、単なる検索精度の向上に留まらず、まるで経験豊富な旅行カウンターのスタッフに相談しているかのような、シームレスで対話的な情報収集体験を提供するもののようだ。この機能は、トラベルコのWebサイト(パソコン版・スマートフォン版)および公式アプリで既に利用可能となっている。

 旅行業界では、顧客一人ひとりの好みやニーズに合わせた体験を提供する「パーソナライゼーション」が競争力の源泉となっており、その実現のためにAIの活用が急速に進んでいる。宿泊施設や航空券の動的な価格設定、過去の閲覧履歴に基づく旅行先のレコメンデーション、AIチャットボットによる24時間365日の問い合わせ対応など、その活用範囲は多岐にわたる。 このような状況下で、トラベルコがまずユーザーからの問い合わせ窓口である「Q&A」にAIを導入したことは、非常に戦略的だ。Q&Aは、ユーザーがどのような点に疑問や不安を感じているのかという、生の「声」が集まる場所にこのAI機能を運用することで、ユーザーの検索意図や潜在的なニーズに関する貴重なデータを大量に蓄積することが可能になる。このデータは、将来的に予定されている商品検索機能の高度化や、より精度の高いレコメンドエンジンの開発において、他社にはない強力な武器となる可能性がある。

 オープンドアは、今回のQ&A機能への導入を皮切りに、今後、商品検索などの基幹機能にもAI技術を順次展開していく計画を明らかにしていると言う。将来的には、「10月の3連休に、夫婦2人で温泉と美味しい海の幸が楽しめて、予算は一人5万円以内の宿」といったような、極めて曖昧で複合的な検索条件に対しても、最適な旅行プランをAIが提案してくれるようになるかもしれない。 最新のAI技術を積極的に取り入れることで、これまで手間と時間がかかっていた旅行計画のプロセスを劇的に簡素化し、より創造的で楽しい時間へと変えていく。トラベルコの今回の取り組みは、その未来に向けた確かな一歩であり、ユーザーにとって一層価値あるサービスの提供を目指すようだ。

参照元:https://www.tour.ne.jp/press/2025/20250604_1530.html

関連カテゴリー