日本通運、EVトラック共同輸送で脱炭素物流を先導

2025年7月18日 11時30分更新


 日本通運は、村田製作所およびロームと連携し、電子部品業界で初めてEV(電気自動車)トラックを活用した共同輸送を2025年7月17日より開始した。出発式は大阪の村田製作所ロジスティクスセンターで行われ、1日あたりの走行距離は約210kmと、国内EVトラック輸送では最長クラスとなる。この取り組みは、気候変動対策の一環として温室効果ガスの排出削減を図りながら、積載効率や輸送コストの改善も目指した新たな物流モデルだという。

 背景には、貨物車両によるCO₂排出量が日本全体の7.4%を占めているという課題がある。日本通運を擁するNXグループは、サステナビリティを重視した経営を進めており、すでに国内でハイブリッド車やEVトラック、水素燃料電池車(FCEV)など12,000台以上を導入済みだ。今回の共同輸送スキームは、村田製作所とロームからの提案をもとに実現したもので、環境負荷の軽減と輸送効率の向上、コスト抑制といった複数のメリットを兼ね備えている。京都と大阪を往復するこの輸送ルートでは、途中2回の充電を挟みながら、安定した長距離運行を達成している。

 今回の運行ルートは、関西国際空港からロームの京都物流拠点、そして村田製作所の大阪ロジスティクスセンターを結ぶもので、EVトラックの活用による温室効果ガス排出の削減だけでなく、複数企業の荷物を1台の車両で効率的に運ぶことによる物流の最適化も進んでいる。

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 今後は、このモデルを他エリアへ順次拡大する方針であり、さらには村田製作所の輸出入品にも共同輸送の仕組みを適用する予定だという。今回の取り組みは、物流業界における脱炭素化の加速に大きな一歩を示した形だ。日本通運のような大手物流企業が、複数企業との連携を通じて環境と経済性を両立させる仕組みを構築することで、サステナブルな社会実現に向けた波及効果が期待されている。気候変動への対応が求められる今、企業間の連携と技術の活用が生み出す新しい物流のかたちは、今後ますます注目を集めそうだ。

参照URL:https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2025/20250717-1.html

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