法人向けネットワークサービス満足度:ソフトバンクと中部テレコミュニケーションが席巻
2023年10月20日 10時10分更新
J.D. パワー 2023年法人向けネットワークサービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大企業市場部門>※従業員数1,000名以上企業市場(対象5ブランド)
第1位:ソフトバンク(645ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「営業・導入対応」、「コスト」、「障害・トラブル対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:KDDI(621ポイント)
第3位:NTTコミュニケーションズ(618ポイント)
「サービス内容/品質」ファクターで最高評価。
<SMB市場部門>※従業員数50名以上1,000名未満企業市場(対象12ブランド)
第1位:中部テレコミュニケーション(712ポイント)
18年連続の総合満足度第1位。「サービス内容/品質」、「営業・導入対応」、「コスト」、
「障害・トラブル対応」の全4ファクターで最高評価。
第2位:USEN ICT Solutions(660ポイント)
第3位:ソニービズネットワークス(654ポイント)
サイバー攻撃への対策、8割以上の企業が「心配あり」
ランサムウェア等による企業ネットワークへのサイバー攻撃は年々増加している。本調査でサイバーセキュリティの対策状況(ランサムウェアや標的型攻撃、不正アクセス等のサイバー攻撃への対策状況)について聴取したところ、大企業、SMB(中堅・中小企業)市場ともに、8割以上の企業が「十分な対策はできているが、やや心配がある」または「対策が不十分であり、心配である」という回答となった。大企業市場では「十分な対策はできているが、やや心配がある」とする回答が56%、「対策が不十分であり、心配である」とする回答が32%となり、合計で88%の企業が「心配あり」と回答している。SMB市場では同割合はそれぞれ48%、32%となり、SMB市場においても合計で80%と多くの企業がセキュリティ対策に不安を抱えている状況が浮き彫りとなった。また、大企業市場ではSMB市場と比べて、既に「十分な対策」を取っていても、なんらかの不安や懸念を抱えている企業が多いという特徴も見られた。
大企業で高まるゼロトラストネットワークへの移行需要
テレワーク等による働く場所の多様化やクラウドサービスの普及等、企業ネットワークの利用環境は変化しつつある。そのような中、近年は「ゼロトラストネットワーク*¹」という考え方に基づいたネットワーク構築が着目されており、ネットワークサービス事業者各社から関連サービスが提供されている。
今後のネットワーク環境において取り組むべき課題として「ゼロトラストネットワークへの移行」を挙げた企業は、大企業市場では24%、SMB市場では8%となった。大企業市場においては、一昨年調査(2021年10月発表)では18%、昨年調査(2022年10月発表)では21%となっており、増加傾向にある。大企業はSMB(中堅・中小企業)と比べてテレワークの導入率が高く(大企業:66%、SMB:38%)、テレワークの生産性やセキュリティ向上の観点からも、ゼロトラストネットワークへの需要や関心が高いと考えられる。
本年調査では、大企業市場において、ネットワークサービス事業者から「セキュリティ強化策の提案・紹介」を受けたとする企業が増加した(昨年14%、本年19%)。加えてネットワークサービス事業者の「ネットワークや関連サービスに関する提案力」に対する満足度(10ポイント満点)も昨年の5.90ポイントから本年は6.05ポイントと、向上が見られている。大企業を中心に高まるセキュリティ対策需要を背景に、多くの事業者がこのような提案活動を強化し、顧客満足度の向上にもつながっていると推察される。
テレワークやオフィス勤務とのハイブリットワーク等、この先も働き方の多様化は進むだろう。また、クラウドサービスのさらなる活用や、サイバー攻撃の高度化等、企業ネットワーク環境におけるセキュリティ強化への高いニーズは今後も続くと考えられる。ネットワークサービス事業者各社においては、このような企業のセキュリティ需要の高まりに寄与すべく、この先も、関連サービスの展開や顧客提案活動の強化が期待される。
*¹ 従来からの社内ネットワークは安全、社外ネットワークは危険とする「境界型ネットワーク」によるセキュリティモデルと異なり、社内外を区別せず全てのネットワークを危険とみなし対策を施す考え方。一方で、ゼロトラストの考えを基にしたネットワーク構築においては、VPNを経由せずにセキュアな状態でのテレワークを可能とすることもでき、セキュリティのみならず生産性向上の面でも着目されている。
概要:年に1回、全国の企業を対象に、通信事業者が提供する固定系の法人向けネットワークサービス*² に対する顧客満足度を聴取し明らかにする調査。今回で22回目の実施となる。 *² レイヤー2/3混合VPNサービスやIP-VPN、広域イーサネット、インターネット接続サービス等 ■関連URL:https://japan.jdpower.com/ja/press-releases/2023_Japan_Network_Service_Customer_Satisfaction_Study ■実施期間:2023年7月下旬~8月中旬 ■調査方法:インターネット調査 ■調査対象:通信事業者が提供する固定系の法人向けネットワークサービスを利用している企業(従業員数50名以上) ■調査回答社数:大企業市場(従業員数1,000名以上企業):487社から816件 SMB市場(従業員数50名以上1,000名未満企業):5,001社から7,453件 ※大企業市場/SMB市場ともに、1回答社から最大2通信事業者の評価を取得 総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「サービス内容/品質」(43%)、「営業・導入対応」(31%)、「コスト」(22%)、「障害・トラブル対応」(4%)となっている(カッコ内は影響度)。 |