満足度の高い項目「最適な料金プランの有無」、トップは「FREETEL SIM」で83.3% ―ICT総研
2016年6月15日 15時10分更新
株式会社ICT総研 (東京都千代田区)は 6 月15 日、2016 年 MVNO 格安SIM の市場動向に関する調査結果をまとめた。総務省主導によるSIM ロック解除の流れを受け、MVNO サービス全体で約210 社が参入するなど、市場の拡大が加速するMVNO 格安SIM について、市場実態や利用動向の把握を目的としている。
インターネットユーザー11,009 人に対するWeb アンケート(6 月2 日~5 日)のうち、格安SIM利用者613人の回答結果を元にした利用者シェアや顧客満足度の実態把握に加え、MVNO 契約数、「格安SIM」契約数の市場規模推移についても推計している。
■ MVNO「格安SIM」利用者シェアは、楽天モバイルが17.0%でトップ。
スマートフォンに格安SIM を挿して利用するユーザーの回答を集計した結果、楽天モバイルが17.0%となり、出現率ベースで利用者数シェアトップとなった。NTT コミュニケーションズの「OCN モバイルONE」が16.5%、インターネットイニシアティブの「IIJ mio」が12.4%、ビッグローブの「BIGLOBE SIM」が9.5%、ケイ・オプティコム(関西電力子会社)の「mineo」(マイネオ)が9.1%でこれに続く。この上位5社で合計64.4%と、シェアの2/3 近くを占めた。
OCN やIIJ、BIGLOBE など、もともとネットワーク運営に強みを持つISP 事業者が昨年同様に大きなシェアを記録しているが、今回トップとなった楽天モバイルはこの 1 年間でシェアを大きく伸ばした形となる。楽天モバイルは直営店の「楽天モバイルショップ」店舗数の急速な拡大や、プロモーションを強化した点が利用者数増加に寄与したとしている。
■ 利用者の満足度の高い項目は、「最適な料金プラン」、「コストパフォーマンス」。
スマートフォンでの格安SIM 利用者に対して、10 項目におよぶ満足度を聞き、この満足度ポイントを100 点満点換算した調査では、「コストパフォーマンスの高さ」(平均79.5 ポイント)、「最適な料金プランの有無」(平均77.5 ポイント)など、料金面に対する項目の満足度ポイントが、他の項目と比べて相対的に高い数値となった。MVNO 格安SIM は、MNO(NTTドコモ、au、ソフトバンクなど大手携帯電話事業者)と比べて料金面が一番の差別化ポイントとされており、利用者もそのMVNO 格安SIMの料金に満足している様子が読み取れるとのこと。
「コストパフォーマンスの高さ」は楽天モバイルが82.5 ポイントでトップ、「最適な料金プランの有無」はプラスワン・マーケティングの「FREETEL SIM」が83.3 ポイントでトップとなっている。
■ 「事業者に対する信頼性」は、IIJmio がトップ。mineo、OCN モバイルONE が続く。
料金面以外の満足度項目を見ると、「契約手続きのしやすさ」はDMM mobile が82.0 ポイントでトップ、「開通までの待機時間の長さ」はUQ mobile が84.6 ポイントでトップ、「初期設定のしやすさ」はIIJmio が80.8 ポイントでトップとなった。契約・設定関連のこの 3 項目は、料金面ほどではないが平均満足度が比較的高い結果となっている。
データ通信の品質や速度関連では、「データ通信の品質・安定性」でBIGLOBE SIM が75.8 ポイントでトップ、「データ通信の速度」はUQ mobile が71.8 ポイントでトップとなった。データ通信の品質や速度は平均63.9 ポイントであり、平均満足度が相対的に低い項目となっている。
サポート面については、平均61.3 ポイントと、平均満足度が最も低い項目となっているが、「コールセンターのつながりやすさ」では75.4 ポイント、「コールセンターの対応」では77.8 ポイントと、ともにmineo がトップとなっている。
「事業者に対する信頼性」は、IIJmio が78.4 ポイントでトップ。mineo とOCN モバイルONE が75.1 ポイントでこれに続いた。IIJmio は昨年の調査でも品質面の評価でトップとなるなど、格安SIM の黎明期から信頼性に対する評価を高水準で維持できているとしている。
■ MVNO「格安SIM」契約数は、2016 年末に710 万契約まで拡大すると推計。
総務省によると、MVNO サービスの契約数は、2014 年末の895 万契約に対し、2015 年末は1,155 万契約と、1 年間で29%の伸びを記録した(MNO であるMVNO を除いたもの)。ICT 総研では、事業者等へのヒアリングを元に、2016 年末にはこれが34.2%増の1,550 万契約まで拡大すると推計している。また、そのうち「格安SIM」の契約数は2015 年末時点で419 万契約と見られるが、これも2016 年末には69.5%増の710万契約まで拡大すると見込んでいる。
現在、モバイル契約数全体に占めるMVNO 契約の比率は7%程度と1 年前と比べると2%増加した。総務省ではこれを早期にモバイル契約数全体の10%をMVNO契約程度の比率にしたい意向を示している。
この実現に、訪日外国人向けの格安SIM サービス動向や、法人向けIoT サービスの本格化、電気通信事業法の改正によるドコモに対する規制緩和などの状況が影響し、「格安スマホ」として浸透しつつあるSIM フリースマートフォン端末の選択肢の増加も、この市場の拡大を後押しするとICT総研は分析している。
この調査の詳細は、ICT総研のホームページを参照していただきたい。
ICT総研:http://ictr.co.jp/