滞在中の体験が満足度を高める!2018 年ホテル宿泊客満足度調査、最高価格帯部門首位は3年連続帝国ホテル
2018年11月20日 10時50分更新
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社 J.D. パワー ジャパンは、2018 年ホテル宿泊客満足度調査の結果を発表した。
◆満足度に対する「料飲」「ホテルサービス」の影響が増加◆
宿泊客満足度の測定にあたっては、「予約」「チェックイン/チェックアウト」「客室」「料飲(F&B)」「ホテルサービス」「ホテル施設」「料金」の7つのファクターを設定し、各ファクターがホテルの宿泊体験全体にどの程度の影響を与えているかを算出している。また、正規宿泊料金などによりホテルブランドを4つの部門に分けて調査を行っている。
ホテルサービス:レジャー/フィットネス施設、スパ、ビジネスセンター等、附帯施設やサービス全体の評価最高価格帯である「1 泊 35,000 円以上」部門の各ファクターの宿泊満足度に与える影響度合いは、2010 年は「客室」が最大で 24%、続いて「ホテル施設」が 19%で、ハード部分合計で 43%のウエイトを占めていたが、2018 年には「客室」18%、「ホテル施設」17%となり合計 35%となった。一方、「料飲」が 2010 年の17%から 21%となった結果、2018 年では最大のウエイトを占め、「ホテルサービス」も 7%から 11%と増加している。
すなわち、2010 年は「客室」の品質が宿泊客満足度に大きなインパクトを与えていたが、2018 年には「料飲」の品質が「客室」を上回るインパクトを持つようになった。この背景には、宿泊客のホテル利用の変化が挙げられる。
8年前の 2010 年と比べ、レジャー/フィットネス施設/温浴施設、コンシェルジュサービス、バー・ラウンジ、朝食などの付帯サービスや料飲の利用率がそれぞれ5ポイント程度上がっており、宿泊のみならずホテルが提供する様々なサービスを利用する宿泊客が増えていることがわかる。
またホテルを選ぶ理由についても、「サービスの評判がよいから」を挙げる割合が高くなる一方、「料金が安い」「料金に含まれるサービスが充実」は低下しており、コストを抑えるよりもホテル滞在で得られる質の高い体験を期待している様子が伺える。
「1 泊 35,000 円以上」部門以外の価格帯のホテルにおいても、同様に「客室」「ホテル施設」のウエイトが小さくなり、「料飲」「ホテルサービス」が満足度に与える影響が高まっている。インターネットや温浴施設の利用を中心とした附帯サービスの利用率が向上し、宿泊客の半数が宿泊プラスαのサービスを利用していることが確認できた。
加えて朝食の利用率も6~7割となっていることから、宿泊客の期待が宿泊だけでなく、ホテル内で受けられる多様なサービス体験へと広がってきていると考えられる。このことから、ホテル宿泊客の利用スタイルは、単なる宿泊から、滞在中の体験を楽しむことへとシフトしているといえよう。
今後も 2020 年に向けて宿泊特化型ホテルを中心とした新規供給の増加が見込まれる中、宿泊客満足度を左右する要素はハードからソフトへと移行し、より質の高い滞在体験を得られるホテルが選ばれていくことが予想される。ホテルの基本機能である「客室」「ホテル施設」で高い品質を提供していくことは必須だが、それに留まらず、ホテルブランドとして特色のあるサービスや滞在体験を提供することが、宿泊客満足度を上げ、リピート顧客獲得につながるカギといえよう。
◆各部門における総合満足度ランキングは次のとおり
【1泊 35,000 円以上部門】(12 ブランド対象)
第1位:帝国ホテル(814 ポイント):3年連続の第 1 位。
「客室」「チェックイン/チェックアウト」「飲料(F&B)」「料金」「ホテルサービス」で当部門のトップ評価。
第2位:星のや(809 ポイント):「ホテル施設」「飲料(F&B)」で当部門のトップ評価
第3位:ザ・リッツ・カールトン(803 ポイント)
「飲料(F&B)」は帝国ホテル、星のやが同率で当部門のトップ評価
【1泊 15,000 円~35,000 円未満部門】(28 ブランド対象)
第1位:ホテル アソシア(746 ポイント):「客室」「ホテル施設」「チェックイン/チェックアウト」で当部門のトップ評価
第2位:ヒルトン(736 ポイント)
第3位:三井ガーデンホテル(734 ポイント、同率): 「料金」「ホテルサービス」で当部門のトップ評価
リゾナーレ(734 ポイント、同率):「飲料(F&B)」で当部門のトップ評価
【1泊 9,000 円~15,000 円未満部門】(15 ブランド対象)
第1位:リッチモンドホテル(722 ポイント):「客室」「チェックイン/チェックアウト」で当部門のトップ評価
第2位:ベッセルホテル/ベッセルイン(717 ポイント):「料金」で当部門のトップ評価
第3位:JR 九州ホテル(716 ポイント):「ホテル施設」で当部門のトップ評価
【1泊 9,000 円未満部門】(対象 19 ブランド)
第1位:スーパーホテル(700 ポイント):5年連続の第 1 位。「チェックイン/チェックアウト」で当部門のトップ評価
第2位:アークホテル(697 ポイント):「客室」「ホテル施設」「朝食」「ホテルサービス」で当部門のトップ評価
第3位:ホテル 法華クラブ(686 ポイント)
《J.D. パワー 2018 年ホテル宿泊客満足度調査概要》
日本全国のホテルグループ・チェーン 184 ブランドを対象に、直近 1 年間に宿泊したホテルでの経験やサービスに対する満足度を調べる調査。今年で 13 回目となる。
■実施期間:2018 年8月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:全国の 18 歳以上の男女
ホテルの提示する正規宿泊料金や客室面積をもとに「1泊 35,000 円以上」「1泊 15,000 円~35,000 円未満」「1泊 9,000 円~15,000 円未満」「1泊 9,000 円未満」の4部門に分け、それぞれにおける宿泊客満足度を測定している。
1泊 35,000 円以上部門 : 正規料金の最多価格帯 35,000 円以上
1泊 15,000 円~35,000 円未満部門 : 正規料金の最多価格帯 15,000 円以上 35,000 円未満
1泊 9,000 円~15,000 円未満部門 : 正規料金の最多価格帯 9,000 円以上 15,000 円未満
もしくは最多価格帯が 9,000 円未満かつ最多客室面積が 15 ㎡以上
1泊 9,000 円未満部門 : 正規料金の最多価格帯 9,000 円未満かつ最多客室面積が 15 ㎡未満
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