『プロ野球のサービスに関する(満足度)調査』、ソフトバンク4年ぶり首位獲得―慶應義塾大学 鈴木秀男教授

2020年5月29日 11時09分更新


 日本のサービス業における顧客満足、ロイヤルティの指数化などを研究している慶應義塾大学・鈴木秀男教授は5月、今年で12回目となる『プロ野球のサービスに関する(満足度)調査』結果を発表した。昨シーズン、球団初の3年連続日本一に輝いた【福岡ソフトバンクホークス】が、2016年以来4年ぶり2回目の総合満足度1位を獲得し、満足度調査においても強さを見せた。

 同調査は、昨シーズン(2019年)1回以上、ホーム球場で試合観戦をしたことのあるファンに、最も応援するチームについての満足度を調査したもの。設問は5つのサービス品質(「チーム成績」、「チーム選手」、「球場」、「ファンサービス・地域貢献」、「ユニホーム・ロゴ」)からなる「総合満足度」と、「応援ロイヤルティ」、「観戦ロイヤルティ」の3つで構成されている。

◆19年シーズン、プロ野球の各球団サービス 総合満足度ランキング

◆「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」で、ファン・地域との関係性を強化

 就任5年目となる工藤公康監督のもと、昨シーズンを戦ったホークス。パ・リーグ優勝こそ逃したものの、クライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、見事4連勝で球団史上初の快挙となる3年連続日本一に輝いた。柳田悠岐選手や松田宣浩選手、今宮健太選手など、選手個々人の活躍と団結力による“チームの強さ”はもちろんだが、同球団といえば、従前のボールパークの枠にとどまらない、エンターテインメント性の高いアプローチも支持を集める理由の1つ。

 球団は、18年に創設80周年、19年に福岡移転30周年という節目を迎えるにあたり「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」を発令(※18年4月)。従前のボールパークの枠にとどまらない、非日常・革新的な次世代型の複合エンターテインメントを体感できる空間を、地域一帯となって創出しようとする取り組みで、エキサイティングな演出を実現するための球場改修を行ったり、今年はドーム敷地内にエンターテイメントビル「E・ZO FUKUOKA」が開業予定(時期未定)。

 また、女性ファン向けのイベント「タカガールデー」等の“○○デー”と銘打った取り組みや、毎年デザインされる限定ユニホームをホークス選手が着用し公式戦に臨む「鷹の祭典」の開催。近年は開幕戦も盛大に行われており、19年はゆずのオープニングアクトや平原綾香による国歌独唱、福岡出身の女優・今田美桜(みお ※もしくはルビに)が登場しての始球式など、プレイボールの前から球団ファンを大いに楽しませ、また新規ファン獲得へ向けた“接点づくり”にも積極的だった。

 鈴木教授は、「(ホークスは)球場でのファンサービス、地域貢献活動の取り組みも良いとされ、その結果から、チーム・選手の魅力、ファンサービス・地域貢献などが高い評価を得ている。総合力で高水準を維持している」と分析。調査では、「そのチームには独自のスタイル(戦術、チーム方針など)を感じる」「試合時のそのチームの選手のパフォーマンス(得点時やホームランのときのパフォーマンスなど)が良い」「球場のビジョン・音響設備」「球場スタッフの対応」などの設問で特に評価が高く、前回16年調査で総合満足度1位を獲得した際のスコア平均値を上回った(72.59→73.98)。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、プロ野球界では、春季キャンプ等でのファンサービス自粛や練習試合の中止など、従来のようなファンとのコミュニケーションが取りづらい状況に陥っている。そんななか、各球団ではジャイアンツを筆頭にオンラインを介したコミュニケーションを促進したり、交流イベントを企画したりと、新たな手法で関係値を深めている。そういった取り組みが、今後の各球団の満足度、延いては球界全体にどのように反映されていくのか、来年の結果にも注目だ。

【調査概要】
調査テーマ:プロ野球のサービスに関する(満足度)調査
研究者:慶應義塾大学 理工学部 鈴木秀男教授
調査実施日:2020年1月下旬
回答者数:1432名
調査対象:プロ野球球団を応援し、2019年度シーズン中に、1回以上応援するチームのホーム球場で試合観戦をしている方/回答者は、最も応援しているチームのみに対して回答
調査方法:インターネット調査
 
 
 
 

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