「おうちでファミレス」検索需要2年で1.5倍急増-クックパッド調査

2025年9月12日 11時00分更新


 物価高と外食値上げ、消費者の食費負担は確実に増している中でクックパッドが2025年9月11日に発表した調査によると、外食チェーンの再現レシピの検索需要は、過去2年間で1.5倍に急増している。総務省統計局の2025年7月分消費者物価指数によると、外食価格が前年比4〜5%上昇している一方で、米や調理食品、菓子類といった家庭用食品の価格は7〜8%とさらに高い伸びを示している。この状況が、消費者の「食費を抑えながらも満足度を求める」というニーズを強めているようだ。特に人気なのは、ファミリーレストランのメニューだ。これは、消費者が単なる節約だけでなく、自宅で外食気分を手軽に味わう「おうちファミレス」という新たな選択肢を見出した結果となっている。味の素の「Bistro Do」シリーズや、吉野家、すかいらーくといった外食大手の中食市場への本格参入も、このトレンドを後押ししている。消費者は、従来の「外食」「中食」に加えて「自宅でつくる再現レシピ」という「第3の選択肢」を積極的に取り入れていると言えるだろう。

 ファミリーレストランの再現レシピが特に人気を集める背景には、いくつかの理由がある。第一に、ファミレスのメニューは、もともとアルバイトでも調理しやすいように設計されており、家庭でも比較的簡単に再現できることだ。専門的な技術がなくても、本格的な味わいを楽しめる点が消費者にとって魅力的だ。第二に、手に入りやすい食材で、家族みんなが楽しめるメニューが作れること。外食に比べてコストを抑えながらも、子どもや家族が喜ぶ食卓を演出できる。第三に、「今日は特定のチェーン店で外食した気分になれる」という楽しさだ。単なる食事ではなく、エンターテイメントとしての側面も支持されている。このトレンドは、単なる物価高対策だけでなく、消費者がより賢く、そして楽しく食生活を工夫していることの表れだ。SNSの普及も、再現レシピの共有を加速させ、ブームに拍車をかけている。

 この「おうちファミレス」のトレンドは、食品メーカーや外食企業にとって大きなヒントを与えるものだ。消費者は価格だけでなく、手軽さや楽しさ、そして満足感を求めている。企業は、家庭で簡単に調理できる冷凍食品やミールキット、さらには公式の再現レシピの公開など、家庭での食体験を豊かにするようなアプローチを強化すべきだ。吉野家ホールディングスが冷凍食品販売店舗を2030年までに1万4000店に拡大する計画を掲げているように、中食市場への本格参入は今後さらに加速するだろう。また、クックパッドのようなレシピサービスと連携し、自社ブランドのレシピを公式に紹介することで、ファンとのエンゲージメントを高めることも有効な戦略だ。物価高という厳しい経済環境の中、消費者の食への意識は「いかに賢く楽しむか」へとシフトしている。この変化を捉え、消費者のニーズに応える新しい商品やサービスを提供できるかどうかが、今後の食産業の成長を左右する鍵となるだろう。

参考URL:https://info.cookpad.com/news/category/release/page/2

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