信頼される金融機関 2025年版CSR企業ランキングトップ5

2025年9月5日 11時45分更新


 企業の社会的責任(CSR)と財務の両面から「信頼される会社」を評価する東洋経済の「CSR企業ランキング」第19回(2025年版)が発表された。今回はその中から、経済全体に与える影響の大きさから独自の基準で評価される金融機関を対象としたランキングを紹介する。ESG投資やSDGs達成に向けた機運が世界的に高まる中、金融機関のサステナビリティ経営への姿勢は、企業価値そのものを測る重要な尺度となっている。

 ランキングの頂点に立ったのは、3年連続で三井住友フィナンシャルグループ(総合ポイント394.9点)だ。特に環境分野では満点の100点を獲得し、その先進的な取り組みが際立っている。メガバンク初のメガソーラー発電設備「SMBC川崎メガソーラープレイス」を新設するなど、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進し、2023年度の再エネ利用率は50.4%に達したそうだ。さらに、自社グループの温室効果ガス排出量について2030年までにネットゼロを目指すという野心的な目標を掲げ、役員報酬制度にサステナビリティに関する評価項目を組み込むなど、経営レベルでの社会課題解決を強力に推進している。人材活用面では、「SMBCジョブフォーラム」といった社内公募制度で従業員の挑戦を奨励している。

2位は日本生命保険(392.3点)で、各分野でバランスよく高評価を得ているのが特徴だ。社会貢献活動では、全役職員がボランティアに取り組む「ACTIONボランティア」を全社展開し、2023年度の参加者数は6万1184人、社会貢献活動支出額は54億円以上と国内トップクラスの実績を誇る。環境面では、全国に広がる「ニッセイの森」で累計138万本超の苗木を植樹し、生物多様性の保全にも大きく貢献している。人材面でも、有給休暇取得率が86.6%、男性育児休業取得率は100%といずれも高水準だ。

3位には、第一生命ホールディングス(391.3点)がランクインした。「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ステートメント」を制定し、女性管理職比率は29.6%と高く、男性育児休業取得率も108.5%を達成している。環境分野ではRE100などに加盟し、再生可能エネルギーの利用率は96.2%にのぼる。社内で炭素排出に価格を付ける「インターナル・カーボンプライシング」を導入するなど、先進的な取り組みも評価された。

4位は東京海上ホールディングス(390.2点)だ。同社の象徴的な取り組みとして、1999年から継続するマングローブ植林事業が挙げられる。2024年3月までに累計12,565ヘクタールを植林し、2,020億円以上の経済効果を確認しているそうだ。また、未来世代への環境教育として「みどりの授業」を全国の小学校などで展開し、これまで約5万9,000人の子どもたちが受講した。

5位はMS&ADインシュアランスグループホールディングス(386.8点)だ。自然環境の保全・再生による防災・減災と地方創生に取り組む「MS&ADグリーンアースプロジェクト」をNPOや大学、自治体と協働で展開している。グループKPIとして「男性育休取得率100%、取得日数4週間」を設定するほか、障害のある社員がリモートで業務を代替可能な仕組み「みなチャレ」を実施するなど、多様な人材の活躍を支援している。

 今回のランキング上位に名を連ねた金融機関は、自社の取り組みに留まらず、投融資などの本業を介した社会課題解決にも積極的に取り組んでいる。近年、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを意図的に創出することを目指す「インパクトファイナンス」などの動きが世界的に広がっている。経済に絶大な影響力を持つ金融機関には、自社だけでなく、投融資先を含めたサプライチェーン全体での社会課題解決やポジティブなインパクトの創出が、今後より一層強く求められていくだろう。尚50位までの順位については、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』にて発表されている。

参考URL:https://toyokeizai.net/articles/-/901715?display=b

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