年末の人気海外旅行先ランキング
2022年11月25日 11時03分更新
調査対象:HISにて対象出発日(2022年12月24日~2023年1月3日)の旅行者
対象商品:パッケージツアー、ダイナミックパッケージ、国際線航空券
<市場環境>
20年ぶりの高水準となっているドル高により、世界的にインフレが加速している。対日本円でも歴史的な円安となっており、訪日旅行者はメリットを享受しやすい環境になっている。
入国に際しコロナ対策で導入されていたワクチン接種や陰性証明、行動制限などを撤廃し、入国条件をコロナ前と同様に戻す「完全開国」に踏み切った国・地域が既に140以上(2022年11月22日時点)となっている。アジアではベトナムやタイ、マレーシア、韓国などが先行しているが、日本は引き続きワクチン接種の条件が残っている。
ホテルや空港など観光業に携わる人手が不足する中、急激な旅行需要の回復や物価上昇の余波などを受け、国によってホテルや航空運賃などが値上がりする傾向にある。航空機にかかる燃油サーチャージは、原油価格の変動に伴い12月以降引き下げとなる会社もあるが、引き続き価格高騰が続いており旅行消費額はコロナ前と比較し上昇している。
HIS年末年始 海外旅行 予約者数ランキング
※前年の順位は20位以上の旅行先のみ記載
<総観>
前年同日比で1,914.1%(約19倍)と大きく伸びているが、コロナ前の2019年比では2割程度となっている。世界の定期便航空総座席数の推移と比較し、2022年12月の日本における国際線航空座席供給数はコロナ前の45.6%(約5割減)となっており、座席数そのものが戻しきれていないことが分かる。(出典:CIRIUM https://www.cirium.com/jp/ 、参考:2020年1月5,676,003席、2022年12月2,588,530席、2022年11月19日時点)
平均単価は19万6,700円(前年比130.6%)。燃油サーチャージが昨年より値上がりしていることが大きく影響している。今年の夏休み期間(7月21日~8月31日)の平均単価は21万3,600円だったが、繁忙期で価格が上昇する傾向にある年末年始の方が低いことについては、短距離方面のソウルが1位になり、長距離方面である欧米諸国が上位に多くランクインしなかったことが要因と考えられる。
<ランキングのレビュー>
1位はソウルで、昨年1位だったホノルルは2位となった。1位の交替ならびにソウルが1位となるのは2011年以来、11年ぶりとなる。韓国は今年8月以降、日本を含む査証免除での入国が再開し、規制緩和に伴い予約者数が増加している。ソウル行きの旅行者の約7割が女性で、10代後半~20代の若年層が約4割と牽引している。ドラマや音楽などポップカルチャーの人気が引き続き高く、さらに、訪日観光客の個人旅行解禁に伴い、日韓路線の増便やコロナ禍により運休していた地方空港を含む路線・LCCの再開などにより、行きやすく且つお手頃な価格で行くことができる旅先として選ばれている。なお、4位にプサンもランクインしており、韓国全体でみればコロナ前の2019年比で約5割となっており、他国と比較しても回復の速度が速いことが特徴。
2位にはホノルルがランクインした。家族旅行が多い年末年始のご旅行先として、引き続き高い人気を誇っている。動向の特徴としては、高級なホテルに泊まり、観光だけではなく寛げる滞在も重要視されている旅行者の増加がある。お客様の平均単価も35万300円と、燃油サーチャージの価格差を加味したとしても、各方面の平均単価から大きく上振れしており、充実した内容を選択されている傾向がみられる。
3位には昨年同様バンコクがランクインした。コロナ禍で動画配信サービスの視聴が増加した時期よりタイドラマのファンが増加しており、夢中になると抜け出せないことから「タイ沼」という造語も生まれている。寺院などの伝統的な観光と新しいエンタメ要素も楽しめる旅先となっている。
平均旅行日数は6.3日間で、コロナ前の2019年は6.1日間であったことから、日数は若干ではあるものの伸びている。出国ピークは2022年12月29日、帰国ピークは2023年1月3日となっており、この動向は2019年と比較しても同様で、旅行のニーズがコロナ前に戻っている。
<まとめ>
2022年は各国の入国制限が緩和され、海外渡航における需要回復フェーズに入った。しかしながら、数年に及ぶコロナ禍がもたらした移動や健康への不安、急激な円安や燃油サーチャージの高騰など、海外旅行に対する心理的ハードルと経済的ハードルと共に、国際線航空座席供給数の減少などもあり、グローバル市場の急激な速度とは違い、緩やかなペースでの回復となっている。足元では、2022年10月における訪日外客数は前月の2倍以上となる49万8,600人となっており、日本人出国者数の34万9,600人を超えている。(出典:日本政府観光局)個人旅行の解禁と査証免除の再開は訪日旅行の後押しとなっており、需要増加に伴い国際線が取りづらくなることや価格上昇なども予想され、コロナ前同様、予約のタイミングは今後も早まる傾向になると想定される。
2023年の動向としては、入国規制緩和により急激に動いた韓国に続き、コロナ前に需要の高かった台湾の戻りが期待される。現在、台湾は1日の入境者数に15万人の上限を設けており、隔離検疫は廃止となったものの7日間の自主防疫が必要。年末年始の台北行きの旅行者においても、9割近くが航空券手配となっており、レジャーでの需要の回復には至っていない。今後、入国に対する水際対策が緩和されれば韓国同様、急激な回復も見込まれると想定される。
HIS年末年始旅行特集 https://www.his-j.com/season/newyear/