ドコモが量子技術で通信を最適化 空いた電波で通信速度向上へ
2026年2月13日 15時45分更新
株式会社NTTドコモは2026年2月13日に、量子コンピューティング技術を活用してネットワークを効率化する「TA-List最適化アルゴリズム」を世界で初めて開発し、商用基地局へ導入したと発表した。この技術は、スマホが基地局とやり取りする「位置登録信号」と「ページング信号(着信呼び出し信号)」という2種類の制御用信号を、量子アニーリングという最新の計算手法で同時に削減するものである 。実際の運用テストでは、1日の混雑時において位置登録信号を65.3%、ページング信号を7.0%削減することに成功した。


一般のスマートフォン利用者が受ける最大のメリットは、通信速度の向上と安定化である。スマホは常に通信を行っているわけではなく、バックグラウンドで「今どこにいるか」をネットワークに知らせたり、電話やメッセージの着信を待機したりするために、常に「制御信号」をやり取りしている。これまでは、この信号の通り道(無線リソース)が混雑すると、利用者が実際に使うデータ通信のためのスペースが圧迫される原因となっていた。今回の技術によって無駄な制御信号が大幅に減ることで、その分だけ「一般のデータ通信」に使える電波の枠が広がり、結果として動画視聴やWebサイトの閲覧がよりスムーズになることが期待されている。
特に、電車での移動中など、基地局のエリアを次々とまたぐ場面でその効果は発揮される。これまでの技術では、エリア設定を小さくすると場所を移動するたびに「位置登録」が発生して通信負荷が高まり、逆にエリアを大きく設定すると着信時に広範囲で「呼び出し」を行うため電波を浪費するという、あちらを立てればこちらが立たぬ「トレードオフ」の状態にあった。ドコモは量子コンピューターを用いることで、わずか5分という短時間で、数えきれないほどの組み合わせの中から「移動が多いルートでは位置登録を減らし、かつ呼び出し範囲も広げすぎない」という、人間や従来のコンピューターでは導き出せなかった理想的なエリア設計を実現した。
今回の量子技術の導入は、単なる基地局の設定変更に留まらず、私たちのスマートフォンライフを支えるインフラを根底から最適化するものである。IoT機器の普及などにより、今後ますますネットワーク上を流れる信号量は増えていくと予想されるが、ドコモは量子コンピューティング基盤をさらに進化させることで、混雑した場所でもストレスのない通信環境の提供を目指す方針だ 。目に見えない電波の交通整理を量子技術が担うことで、私たちはこれまで以上に快適な通信サービスを享受できるようになるだろう。
このように、最先端の量子コンピューティングによって通信の無駄を徹底的に排除する取り組みは、ユーザーが日常的に感じる通信の「つながりやすさ」を大きく進化させるものだ。
参考URL:https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/260213_d1.pdf
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