モバイルICOCAで新幹線定期対応開始 利便性向上へ

2025年11月21日 11時30分更新


 JR西日本は2025年11月18日、スマートフォンで利用できる「モバイルICOCA」において、新幹線通勤・通学定期券「FREX」「FREXパル」を12月20日から取り扱い開始すると発表した。これまでカードタイプのICOCAのみで購入可能だった新幹線定期券が、スマートフォン上で購入から利用まで完結できるようになり、ユーザーの負担軽減につながる取り組みといえる。通勤・通学の新しいスタンダードを目指す施策として、同社は利便性向上とデジタル化の両面をアピールしている。

 今回の対応により、山陽・東海道新幹線(博多〜新富士)および北陸新幹線(敦賀〜上越妙高)のうち、JR西日本エリアを1区間でも含む区間で、モバイルICOCAによる新幹線定期購買が可能になる。有効期間は1カ月または3カ月となり、従来のカード型と同様の条件で利用できる。利用開始には、12月20日に公開される新バージョンのICOCAアプリへのアップデートが必要だ。
申込手続きはすべてオンラインで完結する。ユーザーはICOCAアプリでモバイルICOCAを発行し、専用フォームに必要事項を入力する。学生向けの「FREXパル」の場合は、学生証などの証明書類の画像アップロードが求められる。申し込み内容はモバイルICOCAサポートセンターが確認し、申込日から7日以内に承認が行われる仕組みだ。承認後、ICOCAアプリから定期券を購入でき、クレジットカードを持たない学生でも、保護者などによる代理決済に対応している点も特徴といえる。

 スマホ改札の利便性向上も今回の発表のポイントだ。モバイルICOCAでは、スマートフォンのロック解除を必要とせず、そのまま端末をかざすだけで改札を通過できる。また、端末を紛失した場合でも、会員サイトから無料で再発行できるため、安全性や継続利用の面でもメリットが大きい。Apple PayのICOCAを利用している場合は、手元のカードタイプICOCA定期券を取り込むことも可能で、既存ユーザーの移行にも配慮されているといえる。
JR西日本は利用促進に向けてポイント施策も強化している。J-WESTカードでモバイルICOCAの定期券を購入すると、基本ポイントとして最大1.5%(ゴールドカードは最大3%)が付与される。さらに、12月20日〜2026年2月15日の対象期間に、モバイルICOCAで新幹線定期券を購入した場合、WESTERポイント(期間・用途限定)が最大1万ポイント付与されるキャンペーンを実施する。例えば、岡山〜新大阪の3カ月定期券(388,590円)の場合、ゴールドカード決済分の11,640ポイントに加え、キャンペーンの1万ポイントが付与され、計21,640ポイントが貯まる。このように、従来の購入方法と比較してポイント面の優位性が大きく、同社は「おトクでベンリなサービス」として訴求している。
さらに、モバイルICOCAの詳細や利用方法、Apple PayのICOCAに関する案内をまとめた特設ページも公開しており、ユーザーの導線設計にも配慮している。JR西日本はこれまでも交通系ICの利便性向上に取り組んできたが、新幹線定期券のモバイル対応は生活圏におけるデジタル化をさらに後押しする施策といえる。

 今回の発表は、日常的に新幹線を利用する通勤・通学者の利便性向上だけでなく、駅窓口の混雑緩和や利用者の時間価値向上につながることが期待される。スマートフォンひとつで購入から改札通過、再発行まで完結する仕組みは、今後の交通サービスにおける標準的な形として広がっていく可能性がある。JR西日本は、モバイルアクセスの強化とポイント施策を組み合わせることでユーザーの定着を促し、デジタルチケット時代の基盤づくりを進める方針だといえる。

参考URL:https://www.westjr.co.jp/press/article/items/251118_00_press_mobileICOCA_FREXFREXpall.pdf

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