ソフトバンク、AIで怒声を穏やかに変換する「SoftVoice」を提供開始
2026年2月4日 10時45分更新

ソフトバンク株式会社は2026年2月2日に、コールセンターなどの電話応対業務におけるカスタマーハラスメント対策として、AI音声変換技術を活用したソリューション「SoftVoice(ソフトボイス)」の提供を開始した。このシステムは、東京大学大学院情報理工学系研究科との共同研究成果を基に開発されたもので、通話中のお客さまの強い口調や怒鳴り声をリアルタイムで解析し、発言内容はそのままに、抑揚やトーンを穏やかな声色に変換してオペレーターに届けるものである。近年、過度な要求や不適切な言動による従業員の心理的負担が社会問題となっており、2026年10月からは改正労働施策総合推進法によってカスタマーハラスメント防止措置が事業主に義務付けられる予定である。こうした背景を受け、同社はテクノロジーの力で従業員が安心して働ける環境の整備を支援する。
この「SoftVoice」には、オペレーターのストレスを軽減するための多角的な機能が搭載されている。中核となる「怒り抑制機能」では、AIが150種類の音声パターンから最適な声色を選択し、威圧感を抑えた「怖くない声」へと変換を行う。実際の導入に先立って実施された約300人を対象とする実証実験では、この技術を用いた音声は変換前と比較して、怒りの感情に関する評価指標が平均で30パーセント以上低下することが確認されたという。また、不適切な言動が継続する場合には、現場管理者の承認を経て3段階の「警告メッセージ」を再生する機能も備わっており、感情的な対立を回避しつつ冷静なコミュニケーションを促す仕組みが構築されている。このほか、周囲の雑音を除去するノイズ抑制や、トラブル防止のための通話録音機能も標準で提供される。

サービスの利用料金は、最低10IDからの契約で月額5万円(税抜き)に設定されており、11ID目以降は1IDあたり月額5,000円で追加が可能である。初期費用は不要であり、導入を検討する企業に向けては、最大2カ月間の無料トライアル期間が設けられている。実際の電話応対の現場では、正当なクレームとハラスメントの線引きが難しい局面も多いが、このシステムはどのような内容であっても受ける側の耳に届く音声を和らげることで、精神的な摩耗を物理的に遮断する役割を果たす。ソフトバンクはこのソリューションの提供を通じて、カスタマーハラスメントに起因する離職率の増加や事業運営への悪影響を食い止め、企業の健全な労働環境の維持に貢献することを目指す。
最新のAI技術を駆使したこの取り組みは、コールセンター業界におけるメンタルケアのあり方を大きく変える可能性を秘めている。





