特許資産規模でキヤノンメディカルが業界トップに
2025年11月19日 11時00分更新

パテント・リザルトは2025年10月、医療機器業界における特許資産を総合評価した「特許資産規模ランキング2025」を発表した。対象期間は2023年4月1日~2025年3月末で、この期間に登録された特許を独自指標「パテントスコア」で評価し、特許の質と量を総合的に算出したものだ。ランキングでは、1位がキヤノンメディカルシステムズ、2位がテルモ、3位が米BECTON DICKINSON となった。続く上位には4位に米Boston Scientific、5位にニプロが入った。

1位のキヤノンメディカルは、放射線治療の精度向上に関する技術が特に評価された。「低被ばく量で治療計画を調整できる放射線治療計画装置」や、「心エコー画像のノイズから血流波形を機械学習で自動検出する技術」などが注目特許に挙げられている。
2位のテルモは、ステント製造と再生医療分野の特許が高く評価された。「薬効を効果的に発揮するステントの製造方法」や、「多能性幹細胞由来の分化誘導細胞を含む移植片を活性化する心疾患向け移植片」など、医療現場での実用性が見込まれる技術がランク上昇につながった。
3位のBECTON DICKINSONは、安全性を向上させる医療器具の特許が評価ポイントとなった。特に、「針の位置を正確に把握するための針位置インジケーター付き静脈内カテーテルシステム」が注目されている。
4位のBoston Scientificは、「医療デバイス送達用の可撓性シャフト製造技術」、5位のニプロは「尿毒症物質インドキシル硫酸を効率的に除去する透析装置」などが高評価だった。
特許資産の規模とは、企業が保有する有効な特許を「特許資産」として捉え、その総合力を評価する指標だ。特許ごとに、審査経過情報などを基に算出した注目度スコアを付与し、さらに特許の残存期間を掛け合わせて企業別に合計しているようだ。経過情報には、出願人の権利化への意欲、特許庁審査官の判断、競合他社のけん制行為といったアクションが含まれており、これらを指数化することで、各特許に対して3者がどの程度注目しているかを客観的に把握できるとのことのようだ。
今回のランキングは、業界各社がAIや高度画像処理、再生医療などの領域で特許戦略を強化していることを示しており、医療機器分野の技術競争が一段と加速していることがうかがえる。
参考URL: https://www.patentresult.co.jp/ranking/scale/2025/equipment.html





