【第9回Enterprise Cloudセミナー】利点そのままに、仮想化基盤とパブリッククラウドの融合
2017年6月5日 17時23分更新
NTTコミュニケーションズは5月31日、「第9回 Enterprise Cloudセミナー」を開催した。クラウドに関する動向や最新情報を提供する同セミナーでは、今回、ヴイエムウェア・福本薫氏が登壇し、パブリッククラウドサービス「VMware on Cloud」を活用したIT基盤運用のプラクティスが紹介された。本稿では、同セミナーでプレゼンされた内容の一部をご紹介する。
最新の仮想化基盤の動向
米VMwareは、仮想化基盤製品である「vSphere」を中心にビジネスを展開し、現在、全世界で50万社を超える顧客、7万5,000社を超えるパートナーを有し、2016年度の売上高は71億米ドルに上る。
2011年、同社は脱仮想化を図り、「Software Defined Datacenter Center(SDDC)」を提唱した。SDDCは、すべてのインフラを仮想化してサービスとして提供し、データセンター全体の管理をソフトウェアによって自動化するというコンセプトである。
そして、2016年、複数のクラウド環境を横断して連携するマルチクラウド戦略「Cross-Cloud Architecture」を発表、統合SDDCプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」をリリースした。
「Cross-Cloud Architecture」は、多様な機能を有したハイブリッドクラウドアーキテクチャである。ハードウェアやハイパーバイザー、クラウドの種別を問わず、あらゆるアプリケーションに対して一貫性のある展開モデルやセキュリティポリシー、可視性、統制を確立することができる。
また、「VMware Cloud Foundation」は、すべての仮想化のコンポーネントをまとめてインストールし、VMware の vSphere、vSAN、NSX を 1 つのスタックに統合することで、プライベートクラウドとパブリッククラウドでエンタープライズ対応のクラウドインフラストラクチャを実現する。
さらにその上に、「VMware vRealize Suite」など、任意のクラウド管理プラットフォームを使用することで、包括的なプライベートクラウドを構築することができる。
VMware Cloud Foundationのキーとなるコンポーネントが、仮想化環境設定ツール「VMware SDDC Manager」である。VMware SDDC Manager により、VMware スタック全体の展開、構成、パッチ適用、アップグレードといったライフサイクル管理が自動化され、プライベートクラウドの管理の簡素化を実現する。
Cross-Cloud Architectureは、VMware Cloud Foundation、ヴイエムウェアが開発中のCross-Cloud Servicesの新サービス、VMware vRealize クラウド管理プラットフォームを通じて提供されている。
仮想化基盤とパブリッククラウドの融合
長年投資と改修を続けてきたシステムの多くは最新のアプリケーションアーキテクチャを持っておらず、パブリッククラウドが想定するアプリケーション要件を満たす形でクラウドへ移行することは一筋縄ではいかない。
Webシステムではロードバランサー配下にステートレスなアプリケーションを複数配置するなど、システムの高可用性をアプリケーションのアーキテクチャで担保しているが、古いシステムの多くはそうした高可用性をIT基盤が提供する機能を利用して実現している。可用性を維持した形でパブリッククラウドへ移行するためにはステートレス化、分散処理への対応など、アプリケーションの改修が必要になってくる。
それでは、アプリケーションに手を加えないで、既存のIT資産をパブリッククラウドへ移行するにはどうすればいいのか?
それは、クラウド側に仮想化基盤ごと持っていってしまう事である。仮想化基盤をパブリッククラウド上で展開することで、アプリケーションに手を加えずに、既存のIT資産をパブリッククラウドへ移行することができる。
NTTコミュニケーションズが提供する「Enterprise Cloud2.0」では、IT基盤のハードウェアがクラウドサービスとして提供されている。パブリッククラウド上に慣れ親しんだ仮想化基盤を構築することが可能になり、パブリッククラウドの利点をそのままに、アプリケーションに変更を加えることなしにクラウドへ移行することができる。
3 Key Takeaways
複数クラウドを運用管理する時代になっている。それを踏まえたうえで、「アプリケーションの移行性とITサービスの俊敏性の向上のために仮想化基盤をSDDC基盤へ発展させる」、「共通のSDDC基盤をハイブリッドクラウドの基盤とする」、「マルチクラウド環境の共通運用フレームワークを検討する」という3点が重要である。
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