2021年法人向け通販サービス顧客満足度調査 ー J.D. パワー
2021年6月21日 10時23分更新
J.D. パワーは、2021年法人向け通販サービス顧客満足度調査の結果を発表した。
■コロナ禍で衛生用品等の購入需要が増加、事務用品等は需要減
本年調査は新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が経過した今年4月下旬に、全国の従業員5名以上の事業所を対象に実施した。
調査では通販サービスの利用内容が従来から変化している様子がうかがえた。主要商品分野ごとに、1年前と比べての購入変化を聴取したところ、「購入が増えた」という回答が最も高かったのは、マスクや消毒液等を含む「衛生・医療・メディカル用品」で53%、次いで、清掃用品等の「生活用品」で20%となった(下図参照)。
多くの事業所が感染防止対策としてこのような商品を通販サービスで調達するようになったことがうかがえる。
その一方で、従来、通販サービスにおける主要品目であった「コピー用紙/OA用紙」や「プリンター用トナー・インクカートリッジ」、「文具・事務用品」、「事務機器・電化消耗品」といった商品については、「1年前と比べて購入が減った」という回答がそれぞれ15%前後となっており、「購入が増えた」とする回答を上回った。特にテレワークを実施している事業所では「購入が減った」とする回答がどれも2割以上となっており、テレワークの普及とともにこのような商品の需要が減少している側面がうかがえる。
事務用品等を中心としてきた法人向け通販サービスではあるが、新型コロナウイルス感染拡大以降、事業所内における感染予防対策用品の重要な調達先という役割も担っていると言える。
また、テレワーク等の新しい働き方に合わせた商品やサービスの提供も重要になってきていると考えられる。 通販サービス事業者からの情報提供で「新型コロナウイルス感染症対策用品に関する情報」や「テレワークに関する便利用品に関する情報」、「IT・ソフトウェア・クラウド製品等に関する情報」といった情報が「参考になった/役立った」とする事業所では総合満足度が大きく高まる傾向も見られている。コロナ禍、そしてアフターコロナを見据えながら、通販サービスに求められる新しい顧客ニーズをいかに捉えていけるかがこの先重要となろう。
■テレワーク下で好まれるオンラインサポート。AIチャットボットの満足度は低水準。
同調査では法人向け通販サービスでこの1年で最もよく利用したサポート窓口/機能を聴取している。全体では「コールセンター」が52%と最も多く、次いで「オンラインサポート(AIチャットボット、オペレーターとのチャット、問い合わせフォーム/オペレーターとのメール)」が36%となっている(下図参照)。
これらをテレワーク実施有無別にみると、テレワークを実施している場合は「オンラインサポート」を利用する傾向が高く、中でも「AIチャットボット」の利用が高いという結果となった。在宅勤務等のテレワークでは、コールセンターに電話をすることよりも、他業務と並行しながら手軽にタイミングを選ばず利用ができるこのようなオンラインツールの活用がより好まれやすいことを示唆している。
昨年の新型コロナウイルス感染拡大以降、コールセンターの運営は継続的な課題となっており、このようなオンラインサポートの活用促進は不可欠となっている。近年では多くの通販サービス事業者が、特にAIチャットによるサポート機能に注力しているが、本調査によれば、オンラインサポートの中で「AIチャットボット」の満足度が最も低い結果となっている(上図参照)。AIチャットボット利用者の約半数が「用件が解決しなかった」と回答しており、今後更なる性能改善が期待される。
■J.D. パワー 2021年法人向け通販サービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り(対象9ブランド)。
第1位:ASKUL(667ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。
「配送対応※」「ウェブサイト/カタログ」「料金/請求」の3ファクターで最高評価。
第2位:Amazon Business(665ポイント)
「提供商品・サービス」ファクターで最高評価。
第3位:カウネット(658ポイント)
「配送対応※」ファクターで最高評価。
※ASKULとカウネットの「配送対応」ファクターのスコアは同点。
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