有料動画配信サービス利用率、Amazonプライム・ビデオが68%でトップ、2位のHuluと43%差―ICT総研調査
2017年12月13日 11時43分更新
表1.有料動画配信サービス利用者数 需要予測
表2.動画配信サービスの利用状況
表3.利用している定額制動画配信サービス名
表4.利用している定額制動画配信サービスの満足度
表5.無料・有料動画配信サービスの視聴端末
株式会社ICT総研は12月13日、「2017年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。同調査は、動画配信サービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,405人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものとなっている。
有料動画配信サービス利用者数は2017年に1,440万人、2020年に2,000万人を突破
インターネット回線などを活用した有料動画サービスの利用者が急速に増加している。映画、アニメ、テレビ番組などの動画コンテンツを定額制で利用できるサービスの価格が下がってきた影響もあり、定額制動画サービス市場が拡大してきた。
かつては1本あたり数百円程度で視聴できるペイパービュー(PPV)方式が中心だったが、月額1,000円以下で大量の動画を見放題で提供する「定額見放題」サービスの利用者も急増している。
2015年末(12月末)時点の有料動画配信サービス利用者は980万人で、このうち定額制サービスの利用者数は約3分の2にあたる640万人であった。2016年末には1,160万人の利用者のうち定額制サービス利用者は4分の3にあたる890万人へと急増し、さらに2017年末には1,190万人へと拡大。有料動画配信サービス利用者はさらに増え続け、2020年にはPPV利用者と合わせて2,010万人にまで拡大し、定額制サービスの利用者も1,810万人に達する見通しだという。
定額制動画配信サービスの利用率は13%、PPVサービス利用率は2%
同社が2017年11月に、4,405人のインターネットユーザーに対して実施したWebアンケート調査の結果では、動画配信・無料サービスのみを利用するユーザーは67%であった。また、定額制サービスを利用するユーザーは13%で、ペーパービューサービスを利用するユーザーは2%である。動画サービスを全く利用しない人も18%いる。
現在、無料動画サービスしか利用していない人が有料サービスに移行する可能性もあり、有料動画サービスの潜在市場は大きいものと想定される。
定額制サービス内の最多利用率はAmazonプライム・ビデオが68%でトップ、Huluが25%で2位
定額制有料動画サービスを利用していると回答した518人の中で、主に利用する動画サービス名を聞いたところ、68%の人がAmazon プライム・ビデオを利用していると回答した。プライム・ビデオは、年間3,900円(税込)で加入することができ、配送料無料や音楽コンテンツの聴き放題サービス(Prime Music)など多様なサービスが含まれることからコストパフォーマンスが高いと認識され、利用者拡大につながっているものと思われる。
次に利用者数が多かったのがHuluで、25%の人が利用していると回答した。Huluは、月額1,007円(税込)でHuluに登録されている全てのコンテンツが見放題となるサービス。HuluもAmazonと同様、米国を発祥とするサービスであり、ハリウッド映画など海外コンテンツが豊富なことで評価されている。日本向けサービスでは、日本のテレビ局がコンテンツを提供しており国内コンテンツも充実してきている。
アンケートの回答数で3位だったのがdTVで、16%の人が利用していると回答した。以下、Netflixの利用率が14%、GYAO!が13%、U-NEXTが8%、auビデオパスが7%と続いている。
定額制サービスの満足度はRakuten TVとDMM見放題chライトが82.8ポイントでトップ
定額制動画サービスの利用者に対して4段階で満足度を確認した結果、Rakuten TV(楽天)とDMM見放題chライトがともに82.8ポイントでトップとなった。auビデオパスも僅差の82.5ポイントで3位につけている。Hulu、Netflixも81.8ポイントと高い満足度を示している。
利用率でトップだったAmazonプライム・ビデオは、満足度では75.7ポイントに留まった。
パソコン利用者の67%が動画サービスを利用、スマホ利用者も54%から61%へと増加
アンケート調査の結果では、パソコンユーザーの67%がパソコン端末上で無料・有料動画サービスを利用していると回答している。これは、昨年同社が実施したアンケート調査の74%から7ポイント低下している(参照:ICT総研『2016年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査』)。スマートフォンユーザーがスマホ端末で動画サービスを利用する割合は61%で、こちらは昨年の調査結果の54%から7ポイント上昇している。動画サービスの利用端末がパソコンからスマホへと移行しつつあることを示す結果となっている。
タブレット端末による利用率は26%、テレビによる利用率は13%と低いが、いずれも昨年の利用率を上回っており映画などの動画配信コンテンツを大画面で楽しむ利用形態も徐々に進んでいるようだ。
ICT総研では、今回の調査結果を受け、「今後もスマートフォンによる利用率は上がる傾向にあり、スマホ向けの動画サービスを豊富に揃える必要がありそうだ」と分析している。
関連リンク:『2017年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査』ICT総研