法人ネットワーク満足度 ソフトバンクとCTCが首位
2025年10月22日 11時00分更新

J.D.パワー ジャパンは、2025年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査の結果を発表した。調査の結果、大企業市場部門ではソフトバンクが4年連続で総合満足度第1位、SMB(中堅・中小企業)市場部門では中部テレコミュニケーションが20年連続で第1位となった。企業を取り巻くネットワーク環境は、近年大きな転換期を迎えている。サイバー攻撃の高度化、テレワークの定着、クラウドサービスの拡大といった変化の中で、従来のセキュリティモデルでは十分な防御が難しい場面が増えている。そうした背景から、社内外すべてのアクセスを検証・制御する「ゼロトラストネットワーク」への関心が高まっているようだ。
今回の調査では、今後のネットワーク課題として「ゼロトラストネットワークへの移行」を挙げた企業が大企業市場で26%、SMB市場で8%に上った。2021年からの推移を見ると、大企業では一貫して増加傾向にあり、今後もゼロトラスト関連の導入検討が進むとみられる。これに対し、SMB市場ではまだ導入・関心ともに限定的な水準にとどまっていると言える。

また、ゼロトラストネットワーク関連のサービスやソリューションを利用している企業の割合は、大企業・SMBのいずれでも1割未満と少数にとどまるが、導入企業の満足度は全体平均を21ポイント上回る結果となった。特に「サービス内容/品質」や「営業・導入対応」に対する評価が高く、「メニューやオプションサービスの充実度」「ネットワークに関する提案力」などが顧客満足度の向上に寄与しているようだ。
今後も企業ネットワークにおける安全性の確保は、事業継続の観点から極めて重要な課題とされる。通信事業者には、セキュリティ対策の強化だけでなく、クラウド連携や柔軟な働き方に対応した高付加価値のネットワーク提案力が求められる。顧客企業の多様なニーズに応えるサービス設計と運用支援を通じて、安定したネットワーク環境を支える役割が期待されていると言える。
調査の総合満足度ランキングでは、大企業市場部門でソフトバンクが642ポイントを獲得し、4年連続で第1位となった。特に「コスト」と「障害・トラブル対応」の2項目で最高評価を得た。続いてKDDIが633ポイントで2位、NTTドコモビジネスが624ポイントで3位となった。ソフトバンクはコスト競争力とサポート体制の両面で顧客評価を維持しているようだ。
一方、SMB市場部門では中部テレコミュニケーションが697ポイントで20年連続の第1位となった。「サービス内容/品質」「営業・導入対応」「コスト」「障害・トラブル対応」の全4ファクターで最高評価を獲得し、総合的な顧客満足度の高さが際立った。2位にはソニービズネットワークス(657ポイント)、3位にはUSEN ICT Solutions(651ポイント)が続いた。中部テレコミュニケーションは、地域密着型のサポート体制と安定した通信品質が長年にわたり高評価を得ているようだ。
今回の調査は全国の企業を対象に、通信事業者が提供する固定系の法人向けネットワークサービスに関する満足度を聴取したもので、24回目の実施となる。調査期間は2025年7月下旬から8月中旬、インターネット調査で実施された。回答社数は、大企業市場部門が497社から813件、SMB市場部門が4,924社から7,128件だった。満足度スコアは1,000点満点で算出され、「サービス内容/品質」(41%)、「営業・導入対応」(31%)、「コスト」(24%)、「障害・トラブル対応」(5%)の4ファクターが総合満足度を構成している。
J.D.パワーによると、ゼロトラスト関連ソリューションの普及は今後も進み、ネットワークとセキュリティの融合が法人通信市場の新たな競争軸になる可能性が高いという。顧客に寄り添った提案力と運用支援の品質が、企業満足度を左右する時代に入ったと言える。
参考URL:https://japan.jdpower.com/ja/press-releases/2025_Japan_Network_Service_Customer_Satisfaction_Study





