【SoftBank World 2014】Google Mapsによるビジネス変革――基調講演「Google Maps for Business」
2014年7月24日 14時00分更新
7月15日、16日にザ・プリンスパークタワー東京にて法人向けイベント「Softbank World 2014」が開催された。本イベントは2012年から始まって今年で3回目となり、基調講演の他、ソフトバンクグループからだけではなく多数の企業によるモバイルやクラウドに関するセッションや、サービス・製品の展示が行われ、のべ聴講人数は18000人に達するなど賑わいをみせていた。
本記事においてはその中でも存在感を見せていたGoogleについて紹介したい。「Softbank World 2014」ではクラウドサービスを活用したワークスタイルの変化について取り上げられることが多かった。Googleもその一例で、「Google Apps for Business」を活用した新たなワークスタイルを積極的に提案していた。今回は河合敬一氏による基調講演「Google Maps for Business」、田中大介氏によるセッション「「仕事する」もGoogleへ」を紹介をすることで、どのようなワークスタイルを提唱しているのかをみていきたい。
7月16日 基調講演:
Google, Inc.
Group Product Manager,
Google Maps & Earth
河合敬一氏
「Google Maps for Business ~ビジネスを変革するGoogle地図ソリューション~」
河合氏は「Softbank World 2014」の2日目の基調講演において、Google Mapsを活用して、ビジネスで何が起こせるのかについて紹介した。まずGoogle Mapsの歴史を振り返るところから始める。
Google Mapsは2005年にベータ版が始まった。以前からもネット上に地図を公開するサービスは存在していたが、ドラッグすると地図の続きが表示される仕組みはGoogleが初であったという。約10年経った現在では、ネットワーク、コンピューターの進化により1秒で160万枚の地図を、最新の情報をユーザーの手元へ送れるようになった。同年、地図の上に様々な情報を載せられる「Google Maps API」が、2007には電車、バスに対応した「乗り換え案内」、「モバイルGoogle Maps」、「ストリートビュー」が登場する。ストリートビューは地図を上から見るのではなく、横から見る、目と同じ高さの景色の地図のほうが使いやすいのではという思いから始まったという。2010年には「インドアビュー」がスタート。また「ナビ機能」も加わり、エンドtoエンドでのナビゲーションが可能になった。翌年には「交通情報」に対応。これはGoogleらしいものを、ということでユーザーからスマートフォンのGPS情報を提供してもらい、それを基に現在の状況をリアルタイムで表示されるサービスとなっている。
2011年に発生した東日本大震災も大きな契機となった。当時情報が混乱した際、Googleは航空・衛星写真を提供した他、ホンダと提携して自動車・通行実績情報マップを公開し、情報提供に心がけた。今年2014年よりスタートした、ストリートビューを過去に遡って見ることができる「タイムマシーン」も震災がきっかけだ。津波で家を流されてしまった住民が、以前の景観を見たいという声に応じて、開発が始まったという。
Google Mapsはより豊かな表現を目指しており、空撮した大量の写真データをクラウドコンピューターで分析し、2つの写真から地図を3Dで表現することを実現した。こうしてGoogle Mapsは現在の形へと至り、地図、ストリートビュー、3次元の写真に様々な情報を載せることで成り立っている。
このようなGoogle Mapsをビジネスで使えないかということで3つの企業による事例が紹介された。
1つ目がオーストラリアの最大の電力会社である「Ergon Energy」だ。
広大な土地に送電線を張り巡らせているために、電線の邪魔となる木が生えてくると切り倒さなければならない。しかしどこの木を切ればいいのか、広いゆえにその監視に多大なコストを払ってきた。長く続く送電線をGoogle Mapsに落とし込み、自身で飛ばしているヘリや小型機で撮影した写真をスプレッドシートに手動で落としていたが、今はGoogleに写真を送信し、処理して地図に落としこんでもらい、わかりやすくすることで多大なコストカットを果たした。また木を切る作業員に指示するにも、モバイル端末からGPS情報を見れることで、より効率化を果たすことができた。この経験から、「Google Maps Coordinate」の開発に至る。
「Google Maps Coordinate」はGoogle Maps上で従業員の行動を管理できるシステムだ。管理者はマップ上で従業員の行動を把握し、指示を送ることができ、従業員側はAndroid端末から仕事の報告等を行え、仕事の効率化を目的とするサービスだ。2つ目の例はこの「Google Maps Coordinate」を活用したイギリスの水道会社「Sutton and East Surrey Water」だ。
従来は一度を従業員を集めてから仕事の割り振りを指示してから現場に向かわせ、作業が終わったらまた戻ってきてもらい、再び指示するという図式だったが、「Google Maps Coordinate」を活用することで、いちいち従業員を集める手間を省き、仕事も指示もモバイル端末を通してスムーズに行うことができ、大きな効率化を成し遂げた。
河合氏は「Google Maps」のビジネス利用の利点について、使い慣れた道具で操作できるのも好評の1つと話す。普段使用しているモバイル端末で使用でき、また全く新しいシステムを導入して1つから覚え直す必要もなく、地図に書いてあるので難しくなく分かりやすいという。使い慣れたツールの上に情報をクラウドに載せ、重ねて、意思決定を速くでき、それによって効率化、こうした使い方が広まりつつある
最後の3つ目の事例としてソフトバンクを取り上げた。ソフトバンクが取り組んでいる、地図など様々なGoogleサービスと、自社で開発している営業システムを組み合わせて、リアルタイムで営業現場の効率化を図っている事例をビデオで紹介で紹介した。
様々な取り組みが今始まっており、様々な課題を見えるようにすることで解決しようという動きが進んでいる。地図の進化もまだまだであり、大きなコンピューティングの力、見えるようになることの強み、これを生かして引き続きイノベーションを続けていきたいと述べ、講演を終えた。
田中大介氏の講演は次の記事へ続く
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