【SoftBank World 2014】Googleの提案する新たなワークスタイルとは?――セッション「「仕事する」もGoogleへ。」

2014年7月24日 15時07分更新

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 前回の記事から引き続き「SoftBank World 2014」におけるGoogleの講演を紹介したい。

7月16日16:30~17:10
グーグル株式会社
エンタープライズ部門
田中大介氏
「「仕事する」もGoogleへ。~Google Apps for Businessで実現する「これからの」働き方~」

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 田中氏は本セッションにおいて「Google Apps for Business」を使うことで仕事がどう変わるのかを紹介した。まずGoogleの仕事を、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスでき、使えるようにすることと位置づける。そしてGoogleが様々なサービスを提供するのは、全てこの1つのミッション解決のためと述べる。例えばGoogleがYouTubeを提供するのは、映像を楽しんでもらうためではなく、世界中の映像情報を整理し、世界中の人がうまくアクセスでき、使えるようになってほしいためである。そして「Google Apps for Business」によって、どんな情報を整理し、どんな人にそれを使ってもらいたいのか、と本日のテーマを述べた。

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 Googleは「Google Apps for Business」を通して、「仕事で使うコミュニケーションとコラボレーションにまつわる、あらゆる情報を整理し、アクセスできるように、使えるようになってほしいという思いで提供している」という。コミュニケーションとコラボレーションというのはどういうことなのか。コミニケーションについては「いったい何度言ったら分かるのか」という問題、コラボレーションについては「なんてめんどくさい、非効率的」という問題、これらを「Google Apps for Business」で解決できると解説する。

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 「Google Apps for Business」は大きく分けてメール/スパムフィルタ、ファイルサーバー/MS Office、グループウェア、ウェブ会議の4つのシステム領域をカバーしているという。しかし一番大事なポイントは100%クラウドで提供されていることだと田中氏は強調する。例えばファイルのやり取りに関してもバージョンの管理が不要であり、インターネットさえ繋がっていれば100%使うことができるのが、クラウドの意義だと述べる。キーワードは次の4つ「いつでも、どこでも、誰とでも、気持よく」使えることを目指しているといいう。

 実際の機能の紹介として、メール(Gmail)、ファイルサーバー(Google drive)、ウェブ会議(ハングアウト)の3点を紹介してくれた。まずは「Gmail」からだ。コンシューマー向けのものと違い、会社ロゴ、会社ドメインを使用でき、1ユーザー当たり30Gまでの容量が割り当てられている。「Gmail」はただのメーラーではなく、検索バーからはメール、ドキュメント、サイト等、全てのファイルを検索できるなど、過去、現在、未来とあらゆる情報の玄関口と位置づけられているという。
 「Gmail」の画面左下にチャットのウインドウも設けられており、メンバーの在席状態を確認することができる。田中氏はチャットの良い点は今知りたいことをすぐに問えるスピード感と、ログが残る点にあるという。チャットのログが残るということは、Gmailの検索にもヒットするようになっており、つまり議事ログとして残るというこだ。これによりよく見かける「言った言わない」というのが解消される。田中氏曰く、チャットを行う際にはユーザーは意思決定をしているという。どういうことか紐解いていくと、まずチャットで在席の判断をし、今チャットのやり取りをして大丈夫かと了承をとり、そしてコミニケーションを取るという行動を起こす。このように意思決定のフローができているという。またチャットによって未来への意思決定も行っていることになり、以上のように過去・現在・未来への情報の窓口となっていると解説する。

 「Google drive」に関しては100%クラウドのみで使えることの強みを強調した。インターネットアクセスのみでオフィスソフトが使え、クラウドに保存している1つのファイルに同時アクセス、編集ができることが1番の利点だと話す。従来、サーバー上にあるファイルを複数のユーザーが同時にアクセスしようとすると、閲覧モードでしか開けないために編集ができない、そのためバージョン管理も必要で……と手間がかかってしまっていた。それが50人まで同時編集が可能であり、編集内容もリアルタイムで反映され、しかもデバイス問わずアクセスでき、厄介な手間が解消できる点は特に大きいと田中氏は話す。またマイクロソフトオフィスのライセンスがなくとも、ブラウザ上でオフィスのファイルを編集可能だ。クラウドストレージとしては、1ユーザー当たりメールと合わせて30Gまで使用でき、そこにGoogleドキュメントは含まれないという。

 ハングアウトは最大15人まで会話可能なビデオ通話機能であり、チャットの画面からでもすぐに起動できる。ネットに繋がった端末からならパソコン、スマートフォンを問わずに自由に使え、画面共有としてローカルのファイルの表示や、リモートデスクトップで相手のパソコンの操作もできる。ビジネスで行われている一般的なビデオ通話のような、直前まで電話で連絡を取り合い、会議室を用意して、といったような気合入れてビデオ会議するというものではなく、スピード感、カジュアル感、楽しさを重視していると田中氏は語る。しかしそうなると必ず「うちの会社に合わない」、「仕事で使うものなのか」といった意見が寄せられるという。そういう時、田中氏は「会社と、会社の外ではITはどちらが進んでいるのか」と問い返していると述べる。
会社の外の方がITは進んでいる。例えば学生を挙げて、スマートフォンでスケジュール管理し、SNSで世界中の人とコミュニケーションを取り、様々なネットのサービスを使い分けている人も珍しくない。しかしそんな学生も一旦新卒で会社に入ると、使えるメールの容量が僅か、外からスケジュールを閲覧できない、ITに関しては様々な障壁を感じてしまう。Googleエンタープライズが「Google Apps for Business」を通して提供したいのは、本来であれば使いやすくてユーザーフレンドリーであり、使っていて楽しい会社の外のITを、会社の中で使えるようにセキュリティを搭載して安心して使ってもらいたいことであるという。

 ではどのようにセキリュティを担保しているのか。「Google Apps for Business」を導入する際、寄せられる不安はおおまかに3つあると話す。1つ目はID、パスワードを盗まれた場合や、漫画喫茶のような場所から社員がアクセスしてしまう不安、2つ目はデータの所有権をGoogleが持っていくのでは、というGoogleに対する不信感、3つ目は会社の外にデータを保管することへの不安である。
1つ目の不安に対しては二段階ログインを設けることで解消されている。システム管理者が課せる機能であり、初めて会社の「Google Apps for Business」に接続する端末にはID、パスワードの他にワンタイムパスワードも必要であり、管理者の承諾なしには接続できないようになっている。2つ目に対しては、コンシューマー向けの規約の曲解に因るものだと田中氏は解説する。「Google Apps for Business」の契約書にも「お客様は、お客様データに含まれるすべての知的財産権を所有し」と明記されており、Googleがデータの所有権をもつようなことはない。

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 3つ目に対しては、むしろ会社の外のデータセンターに保管するほうが安心だと話す。Googleのクラウドに保存されたデータは複数にコピー、分解され、各地のデータセンターに分散保管される。そのため1つのデータセンターが使えなくなっても、他のデータセンターに保管されているデータから復元できる。銀行預金とタンス預金の差のように捉えて欲しいという。

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 導入事例として中舘建設、CJシステムという2社が挙げられた。両社とも決して若く、ITリテラシーが高い会社ではないが、自社、現場の都合に合わせてスマートデバイスと組み合わせて使っており、業務効率を見事に上げていた。

利用料金は1人につき、月額500円となる。ただし値段は据え置きのまま「Google Apps for Business」はどんどん進化していく。そして本業のビジネスとともに進化していくパートナーツールとして提供したいと田中氏は語る。

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 最後に「Google Apps Unlimited」が紹介された。こちらは月額1200円となるが、「Google Apps for Business」の全ての機能に加えて、メール、ドキュメントの容量が無制限になり(ただし1ファイル5テラバイトまで)、「Google Vault」によって管理者がメンバー個人のメール・ファイルも管理できる監査・管理機能、ドキュメントのアクティビティが見れるアーカイブ機能が付く。

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 「Google Apps Unlimited」を導入することによって、メールサーバーも、ファイルサーバーも、グループサーバー、オフィスのライセンスもいらなくなる。ネットにつながりさえすれば、クラウドによって全ての業務を遂行できるという世界を表現しているのが「Google Apps Unlimited」である。クラウドの活用により、やろうと思えばここまでできる時代が来ていると認識してもらいたい田中氏は述べ、講演を終えた。

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