【SoftBank World 2014】アリババ・グループ会長、ジャック・マー氏が語るビジネスチャンス――基調講演「The Alibaba Way」
2014年7月24日 09時50分更新
7月15日、16日にザ・プリンスパークタワー東京にて法人向けイベント「Softbank World 2014」が開催された。本イベントは2012年から始まって今年で3回目となり、基調講演の他、ソフトバンクグループからだけではなく多数の企業によるモバイルやクラウドに関するセッションや、サービス・製品の展示が行われ、のべ聴講人数は18000人に達するなど賑わいをみせていた。
本記事においては初日の孫正義氏の後に行われたアリババのジャック・マー氏、Yahoo!Japanの宮坂学氏による基調講演についてふれたい。
アリババグループ
会長
ジャック・マー氏
「The Alibaba Way」
ジャック・マー氏はアリババがアメリカ上場を控えているために、会社についての言及は講演では避けた。そこでビジネスのチャンスはどこにあるか、というテーマで講演が行われた。
ビジネスのチャンスはどこにあるか、ジャック・マー氏はその際に10年先を見据えてチャンスをみるべきだという。氏はこの15年で理想、責任感、プラス思考を貫いてきた。今行動して、明日すぐに成功することは考えていない。
多くの人はビジネスチャンスはもう無くなってしまったというが、チャンスは人々の不満の中にあると述べる。不満を解決すればチャンスになる。たとえ大企業であっても、人々の問題の解決になっていないことは多い。どうしてアメリカのインターネット企業は中国では成功しなかったのか。それは利益を第一に考えていて、中国の企業を支援しようとしてこなかったからだと指摘する。
ジャック・マー氏がやってきことは2つあるという。1つは理想を常に持ってきたこと。未来は今よりもよくなると信じてきており、たとえ自分がやらなくても、誰かが問題を解決してくれるかもしれないというプラス思考を持ってやってきた。2つ目は自分で責任をとること。そして今、すぐ、ただちに行動する人こそが成功すると述べる。10年後の中国にはどのような問題があるのか、それを考え、今から行動すれば10年後には成功できるという。これから10年、15年で今よりももっと豊かな人は増え、新たなチャンスは増えるはずだからこそ、目先のことではなく、10年、15年先のことを考えるべきだと話す。
氏はコードを書いたこともないし、営業もしたことはない、ただ信念を貫いてきただけと述べる。10年前はこれほど大きくなるとは思っていなかった。ただ成長したい、生き残りたいと思っただけであり、自分たちより真面目で、賢い人々はたくさんいる。中国のビジネス環境が悪かったからこそ、自分たちは成長できた。一方アメリカではその環境が整っているからこそ、まだそこまで存在感は発揮できていないと述べる。
また現在の技術についても触れた。ITは大きな進化へと向かっており、これからはInformation TechnologyではなくData Technologyへと変化していくという。ITは自分を良くするものだが、DTは他人を良くするものと位置づける。ユーザーの問題が解決されれば自分たちも成長する。そのためユーザーが第一、社員が第二、株主は第三と考えている。それを受け入れてくれるなら投資してくれと頼んでいるという。
DTはビジネスをCtoBのモデルに変えつつある。DTは製造業を大きく変化させ、1つの多くのものを作るのではなく、多様なものを作るのことに価値が出てくると話す。ユーザーのニーズに合わせて商品を出すようになるため、今後は価格勝負ではなく価値勝負になっていく。今はすべてのテクノロジーを利用できるのも大きく、DTテクノロジーはビッグデータを如何にクラウドに結びつけるか
が鍵になってくる。
氏にとって技術は人を幸せにするものであり、アリババの製品は自分が良いと思ったものを出すという。DTは技術を持ってユーザーを幸せにし、そして自分も幸せになれる。また技術はシンプルであるべきあり、手間がない方が良い。Googleが成功したのは技術を端においたからではとも指摘する。
かつて「インターネットは終わった」としてビジネスモデル、哲学を変えるべきと言った人はたくさんいた。しかし哲学は貫くものであり、アリババがウォールマートを超えると10年前に言ったときはクレイジーだと思われたが、そういう人がいるからこそテクノロジーが生まれる。何を貫くべきかを考える際、何がほしいかを考えた時、何を捨てるかがわかる。
ジャック・マー氏は堅持すること、貫くことが何よりも大事と繰り返し説いた。IT、DTテクノロジーを駆使して、10年先を考えて、今行動すべきである。技術の進化は恐れなくても良い、問題の解決にこそイノベーションがあると述べ、講演を終えた。
宮坂氏の講演については次の記事に続く。
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