デジタル行政サービス満足度、世界平均は66%。AI活用が焦点に(BCG調査)
2026年8月25日 10時00分更新

ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、7月21日に発表した44カ国48,500人を対象としたデジタル行政サービスに関する調査レポートの抄訳を発表した。2012年から隔年で実施している調査の8回目にあたり、市民の利用状況や満足度、AI活用への意識をまとめている。
2026年のデジタル行政サービスの平均利用率は38%となり、2016年から15ポイント上昇した。この数値は、パスポートの申請・更新や入学手続き、出生・死亡・婚姻関係の手続き、給付金の申請など30のオンラインサービスについて、過去2年間に1回以上利用した人の割合を平均したものである。一方、満足度は66%で、2016年と比べて13ポイント低下した。利用が広がる一方で、満足度は必ずしも比例していない状況がうかがえる。
日本については、デジタル行政サービスの利用率が21%にとどまり、調査対象44カ国の中で最も低い水準となった。
AI活用に対する市民の姿勢も調査の焦点の一つとなっている。回答者の約64%が少なくとも週1回AIを利用していると回答し、行政サービスにおいても情報提供にとどまらず、定型業務対応やサービスのパーソナライズ、利用体験の向上への活用を期待する声が示された。
満足度を左右するAI導入ペースへの評価
調査では、行政のAI導入ペースを「適切」と受け止めている国ほど、デジタル行政サービスへの満足度が高い傾向が確認された。逆に「遅すぎる」と感じている国では満足度が低くなる傾向が明確に見られた一方、「速すぎる」と感じる国での満足度低下は特に見られなかったという。日本は「遅すぎる」と受け止める回答者が多いグループに位置づけられており、満足度は29%と各国と比較して低い水準にとどまっている。

またAI活用への支持は、サービスの完全自動化への支持を意味するものではない。約3分の2の回答者が、AIを活用した行政サービスにおいても人による監督を求めており、特に判断が複雑または重要な場面での人の関与を望む傾向が示された。
BCGでコメントを寄せたマネージング・ディレクター&パートナーの中川正洋氏によると、日本ではAIの運用実績の公開を求める声が38%で最多となり、AIの判断の正確性への懸念が35%で最も多く挙げられたという。市民の信頼を高めるには、AI活用ガイドラインの整備や人による監督体制、透明性の確保など複数の取り組みを組み合わせる必要があるとしている。
今回の結果は、デジタル行政サービスの利用拡大が満足度向上に直結していない現状と、AI活用における導入速度や説明責任のあり方が今後の課題として位置づけられることを示していると言えるだろう。




