道の駅”滞在型”シフトが鮮明に
2026年3月18日 09時00分更新

旅行予約アプリ「NEWT」を運営するNewtは、全国1,224カ所(2025年時点)の道の駅を独自の5軸で評価したランキング「SNSで話題の道の駅TOP30」を発表した。SNS話題性・来訪者数・充実度・魅力度・体験価値を各20点・100点満点で採点。1位の川場田園プラザ(群馬県川場村)が98点を獲得した。
評価の基盤となったのは、SNSのハッシュタグ件数や動画再生数をなどを指数化した「SNS話題性」、国土交通省データなどと連動した「来訪者数」、温泉やコワーキングスペースなどの付帯設備を審査する「充実度」、地産食材の独創性を見る「魅力度」、眺望やドライブルートの魅力などを見る「体験価値」の5項目。それぞれ1施設につき独立してスコアリングされており、どれか一項目が突出しても総合1位にはなれない設計だ。
「旅の目的地」型施設が上位を占める

総合トップの川場田園プラザ(群馬県利根郡川場村)は98点。武尊山を背景にした農村風景の中に、ファーマーズマーケット・ベーカリー・地ビールレストランが集積し、体験型アスレチック「HANETTA(ハネッタ)」も備える。来訪者数・充実度・体験価値の3項目で満点の20点を獲得した。
2位の「まえばし赤城」(群馬県前橋市)は2023年開業の新施設で96点。ドッグランや本格温浴施設「まえばし赤城の湯」を併設し、買う・食べる・遊ぶ・ととのうの四機能を一拠点に集約した設計が高評価につながった。単一の施設コンセプトを持つ従来型の道の駅と異なり、上位施設はいずれも複数の滞在目的を並立させている。
「タイプ別」で見えてくる選び方の軸
TOP30を俯瞰すると、施設の個性は大きく三つに分類できる。
一つ目は「グルメ特化型」。3位の「むなかた」(福岡県宗像市)は漁師直送の鮮魚コーナーに週末は開店前から行列が生じるほどの集客力を持ち、20位の「厚岸グルメパーク」(北海道厚岸町)は「今後利用してみたい道の駅2025」で全国1位を獲得した牡蠣特化の施設だ。旬の食材を軸に据え、価格と鮮度の両面で県外客を惹きつけている。
二つ目は「フォトスポット型」。5位の「小豆島オリーブ公園」(香川県小豆島町)はSNS話題性で満点を獲得。実写映画のロケセットを転用したギリシャ風の景観と、無料で借りられる「魔法のほうき」を使った撮影体験がSNS上での拡散を生んでいる。4位の「くるくる なると」(徳島県鳴門市)も巨大なサツマイモオブジェと「鳴門金時うずまきソフト」がビジュアル訴求の軸になっている。
三つ目は「のんびり滞在型」。10位の「保田小学校」(千葉県鋸南町)は廃校をリノベーションして宿泊施設に転換し、黒板や机が残る客室での宿泊体験を提供。リピート率は82%に達するという。30位の「えんべつ富士見」(北海道遠別町)は2024年リニューアルのコワーキング施設を備え、ワーケーション利用にも対応する。
背景にある「目的地化」への構造転換
国土交通省が道の駅制度を創設したのは1993年。当初は長距離ドライブの休憩拠点という位置づけだったが、30年以上を経て施設の役割は大きく変化した。今回の調査でNEWTは「道の駅はもはや通過点ではなく、その場所へ行くこと自体が目的となる、、地域密着型のエンターテインメント空間」と分析する。
背景には、インバウンド需要の地方分散と、SNSによる情報拡散の加速がある。外国人観光客が首都圏から地方へ移動する際の立ち寄り需要と、国内のマイクロツーリズム(近距離旅行)需要が交わる地点に、進化した道の駅が位置するようになっている。
今後の注目点は、30位に入った「えんべつ富士見」のようなコワーキング機能の普及と、廃校・廃施設を活用した地域資源の観光転換だ。人口減少が続く地方にとって、道の駅は地域ブランドの発信拠点としての機能をさらに強めていく可能性がある。





