日本のスマホ料金は、引き続き6カ国中、安い水準に ー ICT総研
2024年1月5日 10時16分更新
ICT総研は4日、「2024年1月 スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査」の結果をまとめ発表した。
2018年に「4割値下げする余地がある」と政府から指摘された後、オンライン専用プランの登場や楽天モバイルのMNO(移動体通信事業者)としての参入を経て、日本のスマートフォン料金、携帯電話料金は変化してきた。料金と並んで重視すべき「通信品質」との比較も加え、日本のスマートフォン料金の現状を把握することをこの調査の目的とし、調査対象は日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の 6 カ国の 主なMNO とし、各国のスマートフォン料金は2023年3月1日時点のものとしたとのこと。
日本のスマホ料金は、前回調査(2022年1月発表)に続き6カ国中、安い水準に
調査の結果、2023年3月1日時点の調査対象6カ国の月額のスマートフォン料金の平均は、データ容量 2GB 3,441円、5GB 3,617円、20GB 4,186円、無制限 6,615円であった。
日本は、データ容量2GBの場合が1,513円と6カ国中最も安い料金であり、5GBと20GBの場合は2318円、2,795円とイギリスと並んで最も安い料金水準となった。一方で、データ容量無制限では6,271円と、6カ国中3番目であり、平均レベルに留まっている。データ容量無制限では他の国に対して優位性は見られないものの、同社前回調査(2022年1月発表) https://ictr.co.jp/report/20220124.html/ と同様に、全体的に見ると、日本とイギリスの料金が6カ国の中で安い水準という結果になっている。アメリカはデータ容量が小さい料金プランで、他の国と比べて料金水準が高い。料金は購買力平価を基準に円換算しているため、円安による影響も見られる。
日本のスマホ料金は2020年から2021年に下落し、2023年もその水準を維持
今回の調査では、2023年3月時点のスマートフォン料金を対象としたが、同社が実施した過去2回の同様の調査と比較することで、調査対象6カ国のスマートフォン料金の推移を示した(表2)。
日本はデータ容量2GB、5GB、20GBともに、2020年3月から2021年12月にかけて、料金水準が大きく下落。その後、2023年3月にかけてはほぼ同水準で推移していることが分かる。2020年4月に楽天モバイルの本格サービスが開始、2021年春にNTTドコモの「ahamo」、au (KDDI)の「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」といったオンライン専用プランが開始するなど、2020年・2021年の時期にスマートフォン料金に影響を与える大きなトピックが多かったことがその要因となっているとのこと。
対象6カ国のうち、2020年3月から2023年3月までの期間に、日本ほど大きく料金水準が変動している国は見当たらない。
日本の5Gダウンロード速度は6カ国中3番目と、平均水準に留まる
通信料金と通信品質の比較をするにあたり、スマートフォン料金と5Gダウンロード速度との関係をまとめた(表3)ところ、5Gダウンロード速度(下り速度)は、韓国 433Mbps、フランス 223Mbps、日本 157Mbps、ドイツ 143Mbps、アメリカ 138Mbps、イギリス 124Mbpsであり、日本は対象6カ国中3番目に速い結果となったとのこと。欧米とほぼ同じ水準であるが、平均レベルとも見て取れる一方、料金水準は6カ国の中でも安い水準であるため、5Gダウンロード速度という指標で観た場合、日本は「通信品質は平均水準」、「料金は安い水準」であると言えるとのこと。
同社が2023年11月に発表した「スマートフォン料金の意識調査」では、スマホ料金が2021年春より前と比べて「安くなった」と感じるユーザーは、24.0%であった。一方で、実際にはスマートフォン料金はその時期に大きく下がっており、日本のスマートフォンユーザーの期待値が高いと言えるのかもしれないとのこと。
日本のスマートフォンの通信品質は少なくとも欧米並み以上のものがあり、ユーザーはそれを安い料金水準で利用できる環境にあるが、今後も携帯電話事業者には、優れた通信品質の提供を期待したいとのことだ。
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