KDDI、増収増益で前中期EPS目標をクリア

2026年5月14日 13時45分更新


 KDDIは2026年5月12日、2026年3月期の連結決算および新中期経営戦略(2027〜2029年3月期)を発表した。
連結売上高は前期比4.1%増の6兆719億円、連結営業利益は同1.1%増の1兆991億円。一時要因を除いた実力値ベースでは、営業利益が同6.0%増の1兆1,643億円、親会社帰属当期利益が同13.6%増の7,567億円となり、前中期で掲げた2019年度対比EPS1.5倍の達成目安水準を上回った。モバイル収入は増収に転じ、スマートフォン稼働数は3,323万契約、モバイルARPUは4,440円(前期比100円増)。au Starlink Direct接続数は400万人を突破した。注力する金融事業の営業利益は432億円、DXは2,639億円で、いずれも二桁成長を達成した。

AI前提社会を見据えた新中期戦略
 新中期経営戦略は「AI前提社会」を見据えた成長構造の刷新を打ち出した。松田社長はAIで壊されにくい価値を築けるかが競争優位を左右するとし、顧客接点・全国インフラ・人材というフィジカルな強みを磨き上げることこそが「この社会での勝ち筋」と話した。この哲学を体現する価値創造手法として「Fusion」を3軸で推進する。
Real-Tech Fusionでは、AIとテクノロジーを最大限活用しながら人間の信頼・共感力でリアルならではの差異化を図り、社会実装のフロントランナーを目指す。Infrastructure Fusionでは、既存の通信基盤と新たなAI基盤を融合したデジタルベルトを構築し、日本全国を網羅する次世代デジタルインフラへ集中投資することで、社会全体を支える基盤として機能させる。HR Fusionでは、既存の強みに新たなスキルを加えた両刀使いの人材を輩出し、社会実装を担う次世代人材の創出を図るとした。

併せてブランドスローガンを「Spark Your Journey」に一新した。第3世代となる今回は、AIとデジタルの深化を背景に、一人ひとりの人生に寄り添い、挑戦を後押しする存在としての決意を示すもので、ブランドメディア「KDDIトビラ」も「Spark Journal by KDDI」に改称した。

 事業セグメントはテレコムコア・パーソナルグロース・ビジネスグロースの3区分に再編。財務目標は調整後営業利益のCAGR5%成長で、グロース両セグメントの二桁成長を牽引役と位置づける。

パーソナルグロース領域では、Coincheck Group N.V.への資本参加とコインチェックとの業務提携を通じ合弁会社「au Coincheck Digital Assets」を設立し、2026年夏に暗号資産ウォレットサービスを開始する。また、ローソンの全国約1万5,000店舗は強力な販路かつ顧客接点となっているという。安定した通信品質とコスト競争力で若年層を中心に注目を集めるpovoは、ローソン店頭での販売が前年比9倍と急伸しているという。

ビジネスグロース領域では、「KDDIスマートモビリティ」の発足を軸にモビリティ事業を本格化させる。AIオンデマンド交通「mobi」の自動運転化を通じ、政府が2030年度に目指す自動運転車両1万台の社会実装に貢献する。並行して、堺AIデータセンターを拠点とした計算資源基盤やセキュリティ領域への投資を加速させ、法人向けDX事業の拡大を狙う。グローバル展開では、国内で培ったpovoの成功モデルをベトナムへ水平展開し、現地通信大手VNPTのサブブランドとして2026年内に共同サービスを開始する。

資本政策面では、自己株式の一部を5月29日付で消却する一方、3,000億円を上限とする自己株式取得を決議した。うち2,500億円分は京セラおよびトヨタ自動車が応募意向を示す公開買付けで実施し、残余は2026年7月以降に市場買付で取得する計画だ。

参考:KDDI株主・投資家情報ページ

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