不動産電子契約のCSは82.9%に上昇。印紙税削減効果を実感
2025年11月4日 11時50分更新

GMOグローバルサイン・ホールディングスと全国宅地建物取引業協会連合会が実施した共同調査で、不動産取引における電子契約の実態が明らかになった。電子契約を実施した際の顧客満足度は82.9%に達し、2023年の前回調査から11.7ポイント向上した。改正宅建業法施行から3年が経過し、業界全体での活用が進んだことで、企業も顧客もスムーズに電子契約を運用できるようになっている。
調査は2025年9月に実施され、1,350件の有効回答を得た。導入効果として最も多く挙げられたのは「印紙税コスト削減」で68.0%の企業が実感していた。これは前回調査の50.0%から大幅に上昇し、継続的な利用による投資対効果が想定以上に得られていることが背景にある。次いで「顧客との日程調整が容易になる」が59.0%、「書類送付の省力化および業務効率化」が57.8%と続いた。

利用される書類は多岐にわたり、電子契約で取引している不動産契約書類について7割以上の企業が「重要事項説明書」や「売買契約書」で電子契約を活用している。「媒介契約書」「賃貸借契約書」での利用も多く見られた。また、「工事請負契約書」についても、2025年9月30日の建設工事請負契約に係るガイドライン改正により、立会人型電子署名の利用が明確化されたことで、今後の利用拡大が見込まれる。
一方で、未導入企業の63.1%が「紙の契約で十分」、60.8%が「顧客から求められることがない」と回答した。この傾向は前回調査と変わらず、業界全体で電子契約が一般化していない現状が続いている。ただし、「電子契約を使いこなせる担当者の不在」を理由とする回答は前回の37.4%から26.8%に減少しており、社内のIT人材確保は進みつつある。
両団体は、電子契約の長期利用が業務改善と顧客満足度向上につながることを確認した一方で、普及にはさらなる啓蒙活動が必要としている。導入済企業を中心に顧客の電子契約体験を拡大することで、不動産業界全体のDX推進を加速させていく方針だ。
プレスリリース:https://www.gmogshd.com/news/news-press-gmo-hs-230727_3488





