ICT総研調べ 2025年11月 九州・沖縄地方5G通信速度

2025年11月7日 10時30分更新


■ 全112地点の下り通信速度は、NTTドコモがトップ。4社平均は154.6Mbps。
■ 「駅ホーム」に比べて「駅以外」の 5G受信地点比率が若干高い。
■ 全112地点のレイテンシは、楽天モバイルが9.1ミリ秒でトップ。
■ 下り速度最速地点はサクラマチクマモト(326Mbps)、最遅は吉野ケ里遺跡(44Mbps)。

 株式会社 ICT総研 (東京都中央区)は11月7日、九州・沖縄地方の5G通信速度実測調査の結果をまとめた。7月に発表した北海道・東北地方、8月に発表した中国・四国地方、10月に発表した中部地方での調査と同様の手法の調査であり、今回は対象地域を九州・沖縄地方とした。具体的には、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の8県である。対象事業者はNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社のMNO(移動体通信事業者)。
 測定端末は、スマートフォン Google Pixel 7a。速度測定サイト「インターネット速度テスト」(Google)にて、1地点あたり下り(ダウンロード)と上り(アップロード)の通信速度を3回ずつ実測した。併せて、レイテンシ(遅延時間)も記録している。測定地点は、九州・沖縄地方8県の駅ホーム、県庁・市庁、大学、空港その他のランドマークとなっている地点など全112地点。優先ネットワークは「5G優先」設定とした。調査日は2025年10月4日~24日である。朝夕のラッシュ時間帯を避けた「閑散時間帯」に調査した。

全112地点の下り通信速度は、NTTドコモがトップ。4社平均は154.6Mbps。

 調査の結果、九州・沖縄地方 全112地点の下り通信速度は、NTTドコモが198.7Mbpsでトップ。ソフトバンク 193.4Mbps、au 171.0Mbps、楽天モバイル 55.4Mbpsと続いた。4社平均の下り通信速度の平均は、154.6Mbpsである。北海道・東北地方、中国・四国地方、中部地方ではいずれもソフトバンクが下り速度がトップであったが、九州・沖縄地方ではNTTドコモがトップであった。4社平均の下り通信速度については大きな差ではないものの、他のいずれの地方よりも速い結果となっている。
 県ごとに見ると、福岡県、長崎県、大分県、鹿児島県ではNTTドコモが下り通信速度トップ、佐賀県、熊本県、宮崎県ではソフトバンクがトップ、沖縄県ではauがトップであった。
 また、全112地点の上り通信速度はソフトバンクが28.1Mbpsでトップ。au 26.2Mbps、NTTドコモ 22.4Mbps、楽天モバイル 20.6Mbpsが続いた。上り速度は4社全てが20Mbps台であり、下り速度と比べて速度差が極めて小さい。

「駅ホーム」に比べて「駅以外」の 5G受信地点比率が若干高い。

 全112地点の5G受信地点比率は、4社平均で73.7%。これは、北海道・東北地方(54.9%)、中国・四国地方(61.9%)、中部地方(62.3%)と比べて高くなっており、これが下り通信速度の速さにつながっている。これを「駅ホーム」(全47地点)と「駅以外」(全65地点)に分けて見ると、「駅ホーム」は4社平均71.8%、「駅以外」は75.0%。大きく変わらないものの、「駅以外」の5G受信地点比率が若干高い。
 「駅ホーム」の5G受信地点比率は、NTTドコモが83.0%でトップ、「駅以外」もNTTドコモが92.3%でトップであった。

全112地点のレイテンシは、楽天モバイルが9.1ミリ秒でトップ。

 レイテンシ(遅延時間)は値が小さい方が快適だとされるが、全112地点のレイテンシ(遅延時間)は楽天モバイルが9.1ミリ秒で最短であった。ソフトバンク(30.2ミリ秒)、NTTドコモ(46.4ミリ秒)、au(49.1ミリ秒)と続いた。他の地方と同様に、楽天モバイルの遅延時間の短さが目立つ。
 全112地点のレイテンシの4社平均は、33.7ミリ秒。中部地方(19.8ミリ秒)と比べると全体的に遅延時間が長いが、中国地方(平均30.4ミリ秒)とは大きく変わらない傾向である。

下り速度の最速地点はサクラマチクマモト(326Mbps)、最遅は吉野ケ里遺跡(44Mbps)。

 測定地点ごとに見ると、今回調査における下り通信速度の最速地点は熊本県のサクラマチクマモト。4社平均下り速度は325.9Mbpsであり、今回調査において唯一、4社平均下り速度が300Mbpsを超えた。熊本県庁(289.5Mbps)、長崎市役所(278.8Mbps)が続いた。一方で、4社平均の下り速度が最も遅かったのは、佐賀県の吉野ケ里遺跡(44.1Mbps)。光の森駅(51.4Mbps)、大村駅(53.2Mbps)がこれに続いた。4社平均下り通信速度が50Mbpsを下回ったのは、112地点中1地点であり、他の地方と比べて50Mbps未満の地点数は少ない。
 ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。

* 朝夕のラッシュ時間帯(7:00~9:00、17:00~20:00)を避け、閑散時間帯に測定した。
* 通信速度が制限されない通信プランを選択している。
* auの「5G Fast Lane」は利用していない。
* 本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。
* 通信速度は、同じ地点であっても、測定日時や天気、測定端末の向き・高さ、ネットワークの混雑状況などにより大きく変動するものであり、注意されたい。
* 本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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