人にも地球にも”やさしい”!「社会性」と「商品性」に優れた商品は?ソーシャルプロダクツ・アワード2016
2016年3月2日 12時42分更新
一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会は、デザインや機能などの「商品性」、そして環境や人・社会への配慮である「社会性」も兼ね備えた商品・サービスを表彰する『ソーシャルプロダクツ・アワード2016』を開催し、特に優れたソーシャルプロダクツとして大賞および特別賞を決定、その結果を発表した。
ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)は、人や地球にやさしい商品・サービスの普及・推進を通して、持続可能な社会を実現することを目的に、優れたソーシャルプロダクツを表彰する制度。
SPAは、優れたソーシャルプロダクツの情報を生活者に広く提供するとともに、ソーシャルプロダクツを通して社会的課題の緩和・解決に取り組みながら持続可能な社会づくりに貢献する企業・団体を応援することを目的としている。
大賞および特別賞の結果は以下の通り。
大賞
商品名:NALUQコスメライン(化粧品)
企業名:株式会社フプの森(北海道)
概 要:資源の有効活用、森林文化・産業の発信を目的に生まれた北海道産のモミエッセンシャルオイル。その原料は地域のFSC認証林から調達しており、環境未来都市下川町における森林資源活用の象徴の一つとなっている。それを柱に国産や地場産、オーガニックの原料を使用してできたのがNALUQのコスメ。外で働くことの難しい子育て中の女性や障がい者施設に仕事を発注することで地域の雇用を創出するほか、自社林を活用した林業の普及・啓発等も行っている。
特別賞(「優秀賞」「生活者審査員賞」「各種特別賞」の3種類)
■優秀賞
商品名:SISAM COFFEEE(コーヒー)
団体名:有限会社シサム工房(京都府)
概 要:フィリピンのルソン島北部コーディリエラ地方の先住民を支援するフェアトレードコーヒー。現金収入の機会が乏しいことを背景に環境破壊が広がる現地で、アグロフォレストリーによるコーヒー栽培で森林伐採を防ぎ、コミュニティを活性させながら、生産者の暮らしや未来に希望を与えている。日本からコーヒーの専門家を派遣することで、その風味の向上にも力を入れ、作り手、売り手、買い手、社会、地球環境の5方良しを目指している。
■生活者審査員賞
商品名:エシカル・ラグジュアリージュエリー 月桂樹コレクション(アクセサリー)
団体名:株式会社 EARTHRISE(東京都)
概 要:「きらめく世界を、つむぐ」をコンセプトに、人権や環境に配慮して採掘・研磨された認証済みのフェアトレード/エシカル素材を使用し、熟練職人の手によって作られたジュエリー。トレーサビリティも確保され、児童労働、強制労働、環境破壊といった負の要素が取り除かれている。素材の産地である途上国に対しては、小規模コミュニティと協力し、各種の啓発活動や技術向上のための支援を行い、素材を加工する国内においては、職人技術の伝承に力をいれている。
■特別賞「アイデア×デザイン」
商品名:FelLe/フェルレ(バッグ)
団体名:株式会社 エコネット(大阪府)
概 要:国内で回収された使用済みPETボトルから生まれた再生フェルトを生地に使用した商品。一般的に、再生したPETボトルは生活者の目に触れない工業製品に使われることが多いが、新鋭のクリエイターによるデザインで生活者が手に取りやすい商品に生まれ変わった。商品の持ち手や角部分には国産本革を使い、大阪の革カバン職人の手により仕上げられている。「これいいよね」と手にしたものが、実は「エコ」だったというような商品作りを目指している。
■特別賞「ストーリー」
商品名:witton(ウィッグ)
団体名:株式会社グローウィング(大阪府)
概 要:抗がん剤治療で頭皮が敏感になった方が使用できるような肌に優しいウィッグとして、USDAオーガニック認証を取得したコットンや化学染料を使わない人毛などをもとに開発。販売にあたっては、ピンクリボンアドバイザーの資格を持つスタッフが一貫して対応をするため、不安や悩みを抱える生活者も安心して利用できる。さらに、毎月の売上の一部は「がんの子どもを守る会」「日本がん協会」に寄付している。
■特別賞「東北復興」
商品名:燻製牡蠣のオリーブオイル漬け -森里海工房-(水産加工品)
団体名:特定非営利活動法人ピースネイチャーラボ(宮城県)
概 要:海を豊かにするために漁師が山に木を植えることで知られる「森は海の恋人」運動。その運動が行われている気仙沼市舞根湾でとれた牡蠣を地元産の桜チップで燻製し、高級オリーブオイルに漬けた手作りの品。その製造過程では地元の高齢者を雇用している。森・里・海の自然が生み出した商品を通じて、人々の自然とのつながりや生産地への関心を深め、自然を活用した東日本大震災の復興モデルとなることを目指している。
本アワードの審査方法とその特徴は以下の通り。
■審査方法
・大賞、優秀賞および各種特別賞
一次(社会性)および二次(商品性)の審査結果をもとに、別途設けられた特別賞審査員会によって決定。特別賞審査員会は、一次および二次の審査員長、副審査員長である下記メンバ―によって構成されている。
神原理:専修大学 商学部教授(一次審査 審査員長)
渡辺 龍也:東京経済大学 現代法学部教授(一次審査 副審査員長)
江口泰広:学習院女子大学 名誉教授(二次審査 審査員長)
白鳥 和生:消費生活アドバイザー(二次審査 副審査員長)
・生活者審査員賞
公募によって選ばれた生活者が実際に商品を見ながら、社会性・商品性の審査を実施し決定。
■審査の特徴
一次審査と二次審査の二段階で構成され、前者では「社会性」を、後者では一次審査を通過したものに対して主に「商品性」を、有識者や専門家が審査する。さらに、公募によって選ばれた一般の生活者も二次審査に参加し、生活者の視点から社会性や商品性を審査する。
■審査における評価項目
(1) 「社会性」として、環境だけでなく人(社会的弱者)や社会(地域、伝統)への配慮を評価
(2) 「社会性」のみならず、品質や機能、デザインといった「商品性」を評価
(3) 商品・サービスが生まれた「背景」や「ストーリー」およびそれを普及させるための「仕組み」を評価