日本観光振興協会は、ネット行動分析サービスを提供するヴァリューズと協同で、2020年の観光関連Webサイトの年間閲覧者数を調査した。
■コロナ禍で宿泊予約サイトの年間閲覧者数は各社前年割れ傾向
ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」カテゴリのサイトにおいて、2020年の1年間に閲覧した人数を集計したところ[図1] [図2]、PC・スマートフォンともに、昨年と同じく、1位は宿泊予約サイトの「じゃらんnet」、2位が「楽天トラベル」となった。トップ10内には「トリップアドバイザー」や「Yahoo! トラベル」、「東日本旅客鉄道 (JR東日本)」、「全日本空輸 (ANA)」、「日本航空 (JAL)」などが入ったが、いずれもユーザー数は対前年で2割前後ダウンしており、新型コロナウイルスによる外出自粛、都道府県間の移動自粛要請などが色濃く影響していると考えられる。
一方で、前年よりもユーザー数を伸ばしたサイトとしては、「一休.com」、「aumo」などが挙げられる。お出かけ情報メディア「aumo」はPCの前年比が141.5%、スマートフォンの前年比が116.1%といずれも伸びており、Go ToトラベルやGo Toイートにより、国内や近場のお出かけ・グルメに消費者の関心が高まったことが、ユーザー数増加の要因と言えそうだ。
■都道府県別の公式観光情報サイトでは、大阪府、三重県、沖縄県がトップ3
続いて、都道府県公式観光情報サイトの中で閲覧者数を集計したところ[図3] [図4]、PC・スマートフォンともに1位:大阪府「OSAKA-INFO」、2位:三重県「観光三重」、3位:沖縄県「おきなわ物語」、4位:長崎県「ながさき旅ネット」、5位:山梨県「富士の国やまなし観光ネット」となった。
上位の中でも大阪観光局の公式Webサイト「OSAKA-INFO」は、前年比で約30%増と高い伸び率を示した。ログデータを分析したところ、特に農林水産省の「Go To Eat大阪キャンペーン・プレミアム食事券事業」がスタートした2020年10月に急増しており、情報を求めてユーザーが集まったと考えられる。
コロナ禍で宿泊予約サイトや旅行代理店サイトの多くがユーザー数前年割れとなったが、大阪、三重、長崎、山梨、千葉、岡山など、利用者を伸ばしている公式観光情報サイトもあり、地域に根ざした情報発信で観光業を支援している様子がうかがえる。
■「観光」関連検索でも「コロナ」やGoTo事業で「キャンペーン」などが上位に
消費者がどのようなニーズを持ち、観光関連のサイトを訪れているかを把握するため、ネットで「観光」と同時に検索されているキーワードを、PC・スマートフォンそれぞれ、2020年の1年間でランキングにした [図5] [図6]。
Go Toトラベル事業を展開する「観光庁」をはじめ、「コロナ」「キャンペーン」「GO」など、検索行動でも新型コロナウイルスの影響が現れる結果となった。
【調査・分析概要】
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)の協力により、ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」カテゴリのWebサイトおよび各都道府県公式観光情報サイトについて、2020年と2019年の年間閲覧者数を集計し比較を行った。さらに2020年の1年間において「観光」を含む検索語句とその検索者数を集計。
※ランキング表内の「カテゴリ」はヴァリューズが独自に定義している。
※サイト閲覧者数や検索者数はPCおよびスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズが保有するモニタ内での出現率を基に、国内ネット人口に則して20歳以上の動向を推測。
※一部の各都道府県公式観光情報サイトについては、リニューアル等に伴い、2020年と2019年でサイト名称やURLが変更されている場合があるが、2020年のものを掲載している。