米国保険デジタル・エクスペリエンス顧客満足度、保険サービス第1位はGEICO―J.D. Power

2020年6月9日 11時21分更新


 CSに関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間6月1日に、J.D. Power 2020 U.S. Insurance Digital Experience Study (J.D. パワー 2020年米国保険デジタル・エクスペリエンス顧客満足度調査)の結果を発表した。

 この調査は、損害保険会社に対して見積もりを依頼する見込み客と、典型的な保険サービスを利用している既存顧客に関するデジタル・チャネルでの消費者体験を聴取したもので、「保険サービス(Service)部門」、「保険契約(Shopping)部門」の2つのセグメントの結果を発表している。

◇保険サービス(Service)部門ではGEICO(ガイコ) が、保険契約(Shopping)部門ではNational General(ナショナル・ジェネラル)がそれぞれ首位

 損害保険各社による消費者向けのウェブサイトとモバイルアプリのデザインへの多大な投資により、デジタル・チャネルにおける保険サービスと保険契約に関する体験を向上させることができた。同調査によると、保険会社は情報のわかりやすさを全面的に改善したものの、多くの会社は消費者に提供する最適な情報量を見出すことに苦労している。

 J.D. パワー 損害保険部門ヘッド、トム・スーパーは、「デジタル・チャネルでの保険契約と保険会社の担当者を介さない顧客のセルフサービス型のソリューションは新型コロナウイルスの感染拡大によって脚光を浴びるようになった。感染拡大の前でさえ、損害保険会社は増大し続けるウェブサイト・モバイルアプリ経由で保険契約・保険サービスを利用する顧客や見込み客を取り込むためにデジタル面に多額の投資をしていた。 全体的に見て、これらの投資の成果が見られた。保険契約と保険サービスの両方の部門で総合満足度スコアは、この1年で急激に上昇した。」と述べている。

 同調査の共同実施者であるCorporate Insight社社長、マイケル・エリソン氏は、「保険の契約と保全を行う顧客の手続きの大半がデジタルプラットフォームに移行するにしたがって、対面とデジタル・チャネルの差は急速に失われている。これからは、適切なタイミングで適切な情報を保険会社独自の形で提供する能力は、業界のリーダーとその他の企業を分ける重要な差別化要因に益々なっていく。」と述べている。

 2020年の調査の主なポイントは以下の通り:

◆損害保険業界は現時点では顧客の期待に応えている
 損害保険顧客のデジタル・エクスペリエンスにおける総合満足度は、デジタル面への過去数年間の投資が成果を上げ、保険サービス部門では前年比+9ポイント(1,000ポイント満点)、保険契約部門では+18ポイント(1,000ポイント満点)総合満足度が向上している。ただし、顧客は以前よりも多くのチャネルを介して、より多くの情報に常にアクセスすることから、顧客のデジタル・エクスペリエンスに対する期待は高まり続けている。

◆情報過多、情報不足を避ける
 デジタル・チャネルの情報量に関して適切なバランスを見つけることは損害保険会社にとっての課題である。多くの会社は複雑で拡張性の高い形で情報を提供している一方、モバイル端末での利用に力を入れている。適切な量の情報を提供することは顧客満足度の向上につながる重要な要素である。

◆デジタル・チャネルにおいて独自性を形成することがカギとなる
 損害保険業界は、新興のインシュアテック企業と伝統的な保険会社の競争激化に直面している。損害保険会社は総合的なブランド戦略を踏まえて、独自性を形成するためにデジタル・チャネルにおいて提供する情報を適切に取捨選択する必要がある。

◇顧客満足度ランキング
【保険サービス(Service)部門】
第1位:GEICO(ガイコ)(885ポイント)
第2位:Allstate(オールステート)・Liberty Mutual(リバティ・ミューチュアル)(同点、877ポイント)

【保険契約(Shopping)部門】
第1位:National General(ナショナル・ジェネラル)(835ポイント)
第2位:Kemper(ケンパー)(820ポイント)
第3位:Erie Insurance(エリー)(818ポイント)

《J.D. パワー 2020 年米国保険デジタル・エクスペリエンス顧客満足度調査概要》

 年に一回、損害保険会社に対して見積もりを依頼する見込み客と、典型的な保険サービスを利用している既存顧客に関するデジタル・チャネルでの消費者体験に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今年で9回目の実施となる。

■実施期間:2020年2月~3月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:米国の損害保険のデジタル・チャネル利用者
■調査回答者数:12,867人

 
 
 
 
 
 
 

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