経年比較、年代別データで見えた自動車保険選びにおける消費者動向とは?J.D. パワー「2019年自動車保険契約者満足度調査」
2019年7月16日 09時21分更新
J.D. パワーは、2019年自動車保険契約者満足度調査の結果を発表した。 同調査は、年に一回、自動車保険(任意保険)の契約者を対象に実施し、契約保険の内容や、契約期間中の自動車事故保険金請求時の対応、新規申し込みを含む各種手続きや問合せ時の保険会社・代理店の対応実態や満足度を明らかにする調査である。
昨年までは契約に関する調査を「自動車保険新規加入満足度調査」「自動車保険契約者満足度調査」の2つに分けて実施されていたが、今年から「自動車保険契約者満足度調査」として統合された。
満足度の測定にあたっては、「契約内容/契約手続き」「価格」「保険証券」「顧客対応」「事故対応/保険金支払」の5つのファクターを設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに、総合満足度スコアを算出している(1,000ポイント満点)。
商品の主な販売方法をもとに「代理店系保険会社」と「ダイレクト系保険会社」の2部門に分け、それぞれの顧客満足度を測定している。部門定義は、「代理店系部門」が専門代理店や車の販売店などの保険代理店をベースに事業を展開する保険会社、「ダイレクト系部門」が代理店を介さずに、主にインターネットや電話などで契約者と直接契約する保険会社となっている。
自動車保険の選定理由について、代理店系、ダイレクト系に分けてみたところ、代理店系では①「家族や友人とのお付き合い」(20.6%)②「契約手続きがしやすい」(19.1%)③「代理店に勧められた」(17.4%)で、ダイレクト系は①「保険料が安い」(70.2%)②「契約手続きがしやすい」(30.7%)③「自分に合った補償内容/商品がある」(23.5%)であった。
昨年との比較では変化は見られなかったが、5年前の2014年の調査データと比較すると、保険選定における顧客行動に大きな変化が見られた。
5年前から最も増加したのは「保険料が安い」で、代理店系、ダイレクト系共に、価格がより重要な選定理由となっていた。次いで「契約手続きがしやすい」「補償内容/商品が充実している」「割引制度が充実している」等の割合が増加している。一方、減少したのは「代理店に勧められた」「変更するのが面倒」「勤務先の会社の組合や、共済、農協等との関係」などであった。
これらのことから、自動車保険に対する顧客の価格志向はより高まり、加えて契約手続や商品とのバランスをみながら、個人がより主体的・能動的に選ぶようになりつつあると言える。
契約に至るまでの情報収集源について世代別に比較すると、大きな特徴が見られた。
保険会社や代理店のチャネルや各種情報メディアでは世代間での大きな差はないが、家族や友人といった人を介した情報源を参考とする人の割合は、明らかに若い世代ほど高いという傾向である。
保険に対する知識や経験が少ない若年層ほど、保険会社との接触や発信される各種情報だけでなく、身近な人からの情報を重視しているということが言えるだろう。
■顧客満足度ランキング
<代理店系保険会社部門>(対象8社)
第1位:AIG損保、三井住友海上、日新火災(同率、647ポイント)
3社が同率で総合満足度第1位となった。三井住友海上は「顧客対応」「事故対応/保険金支払」の2ファクターでトップ評価、日新火災は「契約内容/契約手続き」「保険証券」の2ファクターでトップ評価。
<ダイレクト系保険会社部門>(対象9社)
第1位:ソニー損保(682ポイント)
第2位:セゾン自動車火災(677ポイント)
第3位:SBI損保(668ポイント)
ソニー損保が2年連続の総合満足度第1位。「契約内容/契約手続き」「保険証券」「顧客対応」「事故対応/保険金支払」の4ファクターでトップ評価。
■調査概要
・実施期間:2019年5月
・調査方法:インターネット調査
・回答者数:7,764人