NTT澤田社長「データの所有権は地方自治体に」―NTT R&Dフォーラム2018(秋)

2018年12月5日 16時09分更新

 NTTは、11月29日と30日の2日間、NTT武蔵野研究開発センタにて「NTT R&Dフォーラム2018(秋)」を開催した。同イベント内で行われた講演には、同社代表取締役社長の澤田純氏が登壇し、次世代のスマートシティ化に向けた取り組みや中期経営戦略について講演を行った。
 
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 NTTグループは様々な産業でSmart化を推進しており、日本では札幌市、福岡市、横浜市などの都市と産官学連携で、データを活用した地域課題の解決や地域の活性化に向けた取り組みを行っている。
 そうした取り組みは日本だけにとどまらず、2018年9月からデルテクノロジーズとともに、ラスベガス市を舞台に公共安全ソリューションの共同実証実験を実施。ラスベガス市のダウンタウンに設置された多数の監視カメラや音響センサーのネットワーク、ユーザーの既存のICTリソースを一元管理できる技術「コグニティブ・ファウンデーション」を活用し、群衆の動きや交通パターンの情報をAIで解析することで、犯罪防止や事件発生の検知につなげる取り組みを行っている。
 澤田社長は、「集めたデータを誰が所有し、誰がコントロールするか。日本であれば地方自治体がデータをコントロールすべきではないかと考えている。それを世界規模でも展開していく」として、今後の街づくりにおけるデジタルデータの重要性と自治体のスマートシティー化を推進する上でのデータの所有権について語った。
 
 
 11月6日に発表した中期経営戦略『Your Value Partner 2025』では、戦略の柱に研究開発やグローバル事業の強化、次世代移動通信システム「5G」の積極展開などを据え、デジタルサービスやデータマネジメントを活用したB2B2Xモデルをさらに加速させていく考えを示した。
 その一環としてNTTは、グローバル中間持株会社を設立し、NTTコミュニケーションズ・NTTデータ・Dimension Dataの株式を持株会社から移管。NTTデータを除き、2019年7月を目標にNTTコミュニケーションズとDimension Dataをグローバル事業会社と国内事業会社に再編成する。
 また、革新的な研究開発の促進と海外起点の基礎研究の強化として、2019年7月に米シリコンバレーに新たな研究拠点「NTT Research, Inc.」を設立。基礎物理学研究、特に散逸系における量子論の基礎研究と、その情報処理への応用など全く新しい理論を構築する基礎研究を推進していくほか、配下に2つの研究所を発足し、海外をはじめとした外部の研究者を招き、国内と連携する新たな研究チームを組成する。
 
 NTTは、こうした先端技術や次世代移動通信システム「5G」のインフラ構築などに今後5年間で3兆円を投資する計画である。澤田社長は、「自らのデジタル変革を推進して顧客に選ばれ続けるバリューパートナーになる。そのためにNTTの事業構成はかなり変わっていくだろう」と述べた。
 
NTTは中期目標として、EPSの50%増加、海外営業利益率7%、8000億円のコスト削減を掲げている。
 
 
 

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