ワイヤレスジャパン『Beyond 5Gに向けた楽天モバイルの取り組みと展望』

2022年6月9日 10時00分更新

 楽天モバイル株式会社の執行役員である内田 信行氏は、5月25日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレスジャパン 2022」の基調講演に登壇し、『Beyond 5Gに向けた楽天モバイルの取り組みと展望』と題した基調講演を行った。

【1. 完全仮想化モバイル、ネットワーク法人5Gサービスの現状】
 楽天エリアの総人員の人口カバー率は、2022年4月時点 97.2%に到達した。2018年に提出した開設計画では、4Gの人口カバー96%の達成は2026年に到達予定だったが、基地局建設を前倒しした結果、4年前倒しで達成。99.9%到達までは道のりも遠いが、基地局建設を加速したいと話した。また、5Gエリアも拡大を進めており、基地局数は1万2544局に到達(2022年4月時点)。総務省と岸田総理より「デジタル田園都市構想」で5Gの置局加速の要請を受けており、従来計画から前倒して建設したいと語った。

【2. Beyond 5Gに向けた取り組み】
 楽天モバイルでは、大きく7つの分野にフォーカスして研究開発を実施している。
NICT(情報通信研究機構)での5G研究開発促進事業の事例を3件、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)での「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の事例を3件紹介した。NEDOで採択された東京工業大学との侵入検知システムの実験については動画で紹介。ネットワークスライシングを活用したもので、大学入口に監視カメラとジオフェンスを設置し、エリア内に人がいる場合は高解像度での映像配信、いない場合は低解像度での映像配信へと自動で帯域を広げるシステムの研究を進めている。

【3. 楽天シンフォニーによる海外の展開の状況】
 楽天モバイルのオープン化・仮想化の技術をAmazonのAWSのように通信のプラットホームとして海外の顧客へ提供するため子会社として設立された。
現在は海外拠点を8カ国に設置。見込み客は123程。新興事業者にはプラットフォームを全面的に導入してもらうよう促す一方で、既存事業者への同様のアプローチが難しいことから、一部ソリューションの提供といった形でも進めている。

【4. スペースモバイルプロジェクトの現状】
 楽天グループが出資する米AST & Science社(以下AST社)が主導しているSpaceMobile社は、低軌道衛星を使った「スペースモバイル計画」に取り組んでおり、携帯電話のカバレッジ拡張を試みている。
今後の予定としては、地上設備として日本に3か所程ゲートウェイ局の設立、2022年夏にAST社は、3GPP標準周波数で携帯電話と直接通信するための試験衛星「BlueWalker3」を打ち上げる予定。
実験試験免許の申請も最終段階にあり、この技術の有効性をしっかりと確認した後、日本でもなるべく早い段階で商用に導入したいと語った。

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