楽天決算、増収減益で赤字拡大
2022年11月14日 12時35分更新
楽天グループは11月11日、2022年度 第3四半期の決算を発表した。
売上高は13,647億円(前年同期比13.7%増)、営業利益は-2870億円、連結最終の純損益は-2580億円となり、赤字幅が拡大した。フィンテック各サービスの顧客基盤拡大継続が増収に寄与したものの、モバイルにおける基地局設置などにより、Non-GAAP営業損失は786億円となった。
■セグメント別の進捗状況
各セグメントにおける損益は、全セグメントで増収。
●インターネットサービスセグメント
「楽天市場」や夏休みの需要を取り込んだ「楽天トラベル」が回復傾向で前年同期比+13.1%と堅調に推移。流通総額は第2四半期に続き2桁成長している。「楽天西友ネットスーパー」では物流センター出荷の流通総額は前年同期比+32.2%と高い成長率を実現。
海外事業は、マーケティング施策の実施や消費行動の回復に伴い、米国のキャッシュバックサービス「Rakuten Rewards」が順調。第3四半期の売上収益は223億円(前年同期比+15.2%)となった。
●モバイルセグメント
1GB以下は0円となる「0円プラン」が実質2022年10月末で終了し、Rakuten UN-LIMIT Ⅶが開始した。プラン廃止の発表から、契約数は9月末までに45万件減少したが、これに伴うARPU(1ユーザーあたりの平均売上)の上昇や、パートナー回線エリアから楽天回線への切り替えによる費用削減効果により、セグメントの損失は2022年度第1四半期をピークに逓減。引き続きさらなる改善を見込む。
当事業では赤字が続き、立て直しに向けて大規模な資金調達が可能か注目されている。収益改善については、収益の増加とコストの減少の両輪で、2023年の黒字化を目指す。コストにおいては、基地局が5万局を突破したことや、自社エリアが95%となり設備投資が一巡し、今後コストは縮小傾向になる見込みとしている。収益については、ARPUとユーザー数拡大で財務改善を目指す。
一部報道にあった”モバイル事業での人員削減”については発表はなかった。
●フィンテックセグメント
「楽天カード」の累計発行枚数が2,751万枚、「楽天銀行」の口座数は1,303万口座を突破した。カードショッピングは取扱高+27.4%で、ショッピング取扱高シェアも23.0%(22年8月時点)と順調に拡大している。
■プラチナバンドの再割当て
2024年3月使用開始を目指す
携帯大手4社で争っていた「プラチナバンド(*1)の再割当て」の議論について、11月8日に総務省が有識者会議での報告書案(*2)を発表した。こじょ報告書案には、NTTドコモ/KDDI/ソフトバンクの電波の一部を楽天モバイルにへ割り当てるよう求める記述があり、楽天モバイルはプラチナバンド獲得についての公算が高まっている。
楽天はこれを受け、2024年3月からの使用開始を目指すスケジュールを明らかにした。設備投資については、既存設備を利用または再利用することで、低コストでの設置を目指す。
他の3社からは、投資の増加で経営状況が更に逼迫するのではという声や、移行期間が5年と短いことから実現可能か疑問視する声があがっている。
*1:プラチナバンド(700~900MHzの周波数帯指す通称。電波がつながりやすいとされている。)
*2:「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関する タスクフォース」の報告書(案)
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