J.D. パワーは、今年で10回目の実施となる2017年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査<自動車メーカー純正ナビカテゴリー>の結果を発表した。
同調査ではナビゲーションシステムに関する総合的な評価を4つのファクターに基づいて算出している。4つのファクターは「ナビゲーション機能(39%)」、「音楽/映像機能(21%)」、「操作性(20%)」、「モニター(19%)」(カッコ内は総合満足度に対する影響度)で、これらのファクターにおける複数の詳細項目に対する評価を元に、使用しているナビゲーションシステムの総合満足度(1,000点満点)を算出。
2017年調査における総合満足度の業界平均は521ポイント(2016年:519ポイント)であった。セグメント別にはラグジュリーセグメントが553ポイント(2016年:552ポイント)、量販セグメントが519ポイント(2016年:517ポイント)と、ほぼ前年並みの顧客満足度水準であった。
J.D. パワーのオートモーティブ部門ディレクターである佐々木由至は、次のようにコメントしている。
「ナビゲーションシステムの機能や使い方は徐々に変化している。例えば、スマートフォンを接続使用する割合は2016年の43%から49%に上昇し、音声認識機能が装備されていると回答する割合も50%から52%に微増している。これらの機能はナビゲーションシステムの機能や使い勝手を高めるものだが、一方で機能への不満や不具合経験が顧客満足を著しく損ね、場合によっては機能の利用停止(無駄機能化)につながる。
ナビゲーションシステムへの新機能・装備の実装にあたっては、操作性や性能が顧客期待を十分満たすことが必要であり、開発プロセスの強化、上市製品に対する顧客評価のフィードバックがますます重要になっている。」
主な調査結果
■ ラグジュリーセグメントではレクサス(620ポイント)が6年連続で顧客満足度第1位となった。レクサスは4つのファクター全てにおいて他ブランドを上回る評価を得ている。2位はBMW(542ポイント)である。レクサスと他ブランドの評価差は依然として大きいが、2位のBMWとの総合CSIの評価差は2016年の108ポイント差から、78ポイント差に縮小した。
■ 量販セグメントでは、スバル(539ポイント)が顧客満足度第1位となった。スバルは2016年の518ポイントから21ポイントスコアが向上した。2位は1ポイント差の僅差でトヨタ(538ポイント)続いている。
■ スマートフォンをナビゲーションシステムに接続する割合は、43%(2016年)から49%(2017年)に6ポイント増えた。接続利用の内容としては、携帯端末内に保存された音楽を聴く割合が増加している(2016年:39%、2017年:42%)。携帯端末内の音楽を車内で再生するユーザの「音楽/映像機能」評価の平均は539ポイントであり、業界平均520ポイントを上回る。しかし、スマートフォンを接続し、携帯端末内の音楽を車内で再生するユーザーのうち11%が運転中のオーディオ操作がしづらいと回答し、「操作性」評価平均が434ポイントと業界平均510ポイントを大きく下回る。スマートフォン接続による機能や利用方法の多様化は、顧客満足向上に有効な反面、不完全な使い勝手が顧客満足を損ねる危険性もあることを示唆している。
■ ナビゲーションシステムに音声認識機能がついていると回答した割合は、50%(2016 年)から52%(2017年)と僅かに増加した。しかし、機能があると回答したユーザーの中で、実際に音声操作を使用している(必ず/たまに使用)ユーザーの割合は29%(2016 年)から26%(2017 年)へと低下している。現在音声操作を利用しているユーザーのうち19%が不具合を感じており、不具合経験層における「操作性」評価は472 ポイントと低く、業界平均の510 ポイントを下回る。これは、スマートフォン接続同様、音声操作についても機能の不完全さが顧客満足を大きく損ねることを示している。利用率の低下が認められる音声認識機能の“無駄機能化”を回避し、利用の一般化を進めるためには、機能の性能改善や使いやすさの向上が極めて重要といえる。
【調査概要】
自動車メーカー純正ナビの顧客満足度を測定するもので、ナビに関する総合的な評価を「ナビゲーション機能」「音楽/映像機能」「操作性」「モニター」の4つのファクターに基づいて、総合満足度を1000点満点で算出。10回目の調査となる今回は、2015年4月から2017年3月までに新車を購入した純正ナビ利用者を対象に7月下旬にインターネット調査を実施し、7088人から回答を得た。