ブランドランキングではダイハツが1位、装備率の高まりとともに新技術や装備に対する不具合指摘が増加―J.D. パワー調査
2017年9月1日 11時44分更新
車両全体の不具合指摘は前年と同水準を維持した一方で、安全装備や新技術に対するユーザーの不具合指摘が増える傾向にあることが、J.D. パワー 2017年日本自動車初期品質調査によって明らかになった。
J.D. パワーの初期品質調査は、世界各国で実施され、新車の品質を調べる業界のベンチマークの役割を果たしている。日本では今年で7回目の実施となる。調査の結果、2017年の総合不具合指摘件数は76PP100であった。2016年は75PP100、2015年は80PP100であり、昨年と同水準の結果となった。
調査では、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザーを対象に233の項目にわたってユーザーの不具合経験を聴取しており、それらの項目は外装、走行性能、装備品/コントロール/ディスプレイ、オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)、シート、空調、内装、エンジン/トランスミッション(Eng/Trans)の8つの分野に分かれている。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、数値が低いほど品質が高いことを示す。
Eng/Trans分野(8.2PP100、対前年-1.5PP100)とACEN分野(10.0PP100、対前年-1.3PP100)での改善が進んだ一方で、8分野中不具合指摘の最も多い内装分野(16.5PP100、対前年+0.9PP100)や次いで不具合指摘の多い装備品/コントロール/ディスプレイ分野(11.7PP100、対前年+1.4PP100)を中心に6分野のスコアが悪化している。
セグメント別でスコアを見ると、軽自動車セグメントとラージセグメント以外のセグメントで前年からのスコア悪化が確認された。特に、ミニバンセグメントの総合不具合指摘件数は76PP100となり、前年の69PP100から+7ポイント悪化した。同セグメントにおける不具合指摘が一番多い分野は内装(17.0PP100、対前年+2.7PP100)、次いで装備品/コントロール/ディスプレイ(12.8PP100、対前年+3.8PP100)である。装備品/コントロール/ディスプレイ分野の詳細項目を見るとアダプティブクルーズコントロールを含むクルーズコントロールシステム‐スイッチ類/アイコン表示が不便(0.8PP100、対前年+0.4PP100)や衝突回避/警告システム‐スイッチ類/表示が不便(0.7PP100、対前年+0.5PP100)など、安全装備や新技術関連の不具合項目の指摘件数が増加傾向にあることがわかる。コンパクトセグメントやミッドサイズセグメントにおいてもいくつかの安全装備や新技術の項目で不具合指摘の増加が見られた。
さらに、安全装備や新技術の装備率は全般的に前年から上昇しており、特に車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)で15.5%、衝突回避/警告システムで11.4%、パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)で9.3%増加している。これら装備の装備率は過半数を超える水準となっており、消費者が安全装備や新技術を使用する機会が増えるとともに、装備に対する不具合指摘が増える傾向が確認された。
J.D. パワー のオートモーティブ部門シニアディレクターである川橋敦氏は、安全装備や新技術が増える中で、「消費者の装備に対する関心も高まりつつあり、車選びの新しい基準になりつつある」としながらも、一方で、実際にこれらの装備がついた車を購入したユーザーは、装備を日常的に使うようになってみると、「使い方や分かりやすさについて、課題を感じる傾向がみられる」という。同氏は、自動車会社各社が、新技術や装備に対する消費者の親和性や信頼感を得るためにも、「ユーザーにとっての使いやすさ、分かりやすさを高めることを意識すべき」と指摘している。
ブランドランキングでは、ダイハツが67PP100で第1位となった。第2位はホンダ(71PP100)、第3位はトヨタ(73PP100)となっている。今回ランキングが発表された4つの車両セグメント別モデルランキングは以下のようになった。
2017年の日本自動車初期品質調査は、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザー22,924人から回答を得た。調査対象の車両は全16ブランド、108モデルであり、有効サンプル数が100サンプル以上のブランドおよびモデルをランキング対象としている。調査は2017年5月から6月にかけて実施された。
関連カテゴリー