格安航空利用者サービス満足度ランキング、第1位は春秋航空日本、国際線はエアプサン

2017年5月8日 12時57分更新


 顧客満足度調査を行っている「オリコン」が、国内線と国際線に分けて格安航空会社の満足度が高い航空会社ランキングを発表した。

 運賃が大手航空会社の半分から3分の1という低価格が魅力のLCC(格安航空会社)。ここ数年、新規参入が相次ぎ、国際線、国内線ともに路線も充実。若者を中心に利用が急増し、身近な交通手段として認知されてきている。移動費を安く抑えられれば、旅先での観光や買い物に回すことができる。ただ、実際に大手航空会社と比べてディレー(遅延)が多く発生したり、フライト欠航の時は全て自力解決、自己負担といったデメリットもある。「安かろう、悪かろう」のイメージが根強いのも事実で、各社はこうした印象を払拭しようと、激しいサービス合戦を繰り広げている。

◆調査概要
 調査の対象者は、過去2年以内にLCCを利用した18歳以上の国内在住者で、国内線は2302人、国際線は3323人の回答を得た。
評価対象のLCCは、事前調査で一定の人数が社名を挙げた国内線4社と国際線15社。「購入手続きのしやすさ」「機内環境・設備」「座席の快適さ」など7項目に関する質問を行い、それぞれの満足度を10点満点で評価してもらうとともに、「重視する項目」も尋ねた。多くのユーザーが重視する項目で評価が高い場合は、ポイントに反映する仕組みになっている。

 〈LCC国内線〉
20170508

【国内線では「Spring Japan」が2年連続の首位】
 国内線では、日中合弁の「Spring Japan(春秋航空日本)」が、「購入手続きのしやすさ」や「客室乗務員」、「コストパフォーマンス」など6項目で1位を獲得し、前回調査に引き続き、堂々のトップ。
次点は、「機内環境・設備」の項目で1位を獲得した「peach」。
3位には「バニラエア」、4位に「ジェットスター・ジャパン」と続いた。

 Spring Japanは2014年8月に就航し、成田国際空港と関西国際空港、広島空港、佐賀空港、新千歳(札幌)空港を結ぶ4路線を運航している。国内線を展開するLCCとしては後発ながら、2年連続で首位を守った秘訣は、「人」を磨いたところにあるとのこと。
7項目のうち、Spring Japanの強さが特に目立ったのは「客室乗務員」(72.17点)と、「空港スタッフ」(69.35点)だ。いずれも2位を1.5点前後上回っている。利用者からは、「価格が安いチケットなのにもかかわらず、丁寧な接客をしてもらえた」「無駄がなく、アナウンスも馬鹿丁寧でないところがシンプルで良い」といった“LCCならでは”ともいえる意見もあった。
このほか、「機内食」(66.19点)も1位で、2位のpeachを約2.5点も引き離し、ここでも強さを見せた。

 LCCの一番の売りはコストパフォーマンスといえる。Spring Japanはもちろん、ここでもトップだったが、1位~4位で大きな差は見られなかった。もはや安いのは当たり前で、顧客争奪の主戦場は、質の高い接客をはじめとする快適なサービスをどれだけ提供できるかに移っているようだ。

〈LCC国際線〉
201705082

【国際線は「エアプサン」が初のトップ】
 国際線のランキングでは、前回はサンプル不足でランク外だった韓国の「エアプサン」が初めて首位に躍り出た。「購入手続きのしやすさ」や「客室乗務員」、「コストパフォーマンス」など4項目で1位を獲得し、peachとの接戦を制した。前回1位だったバニラエアは3位という結果に。

 エアプサンは2010年に韓国・釜山(プサン)と福岡空港、関西国際空港を結ぶ2つの日本路線を開設した“古参”で、昨年も韓国・大邱(テグ)と関西国際空港、新千歳空港の路線に加え、2017年4月に大邱と成田国際空港を新規就航するなど事業を拡大し、利用者を増やしている。エアプサンが選ばれたのも、「空港スタッフ」によるところが大きいようだ。海外旅行では、乗り換えに不安を感じるという人は少なくないだろう。しかし、「到着遅延時にトランジット(乗り換え)案内の職員が待機しており、速やかにトランジットができた」との声があった。

 一方、首位を明け渡した3位のバニラエアだが、それでも「機内食」の項目では1位を獲得した。また、4位にランクインしたシンガポールの「スクート」も、「機内環境・設備」と「座席の快適さ」の2つの項目で首位だった。

 LCCの利用は、国内線、国際線ともに年々右肩上がりで増え続けている。国土交通省の昨年7月時点の集計によると、2015年の国内線LCC旅客数は928万人で、2012年の172万人から5倍以上増えた。また国際線LCC旅客数は、2015年が967万人で、2012年の291万人から3倍以上増えたことになる。

 しかし、路線の増加で過当競争が起きれば、運賃が下落して収益が悪化するケースが相次ぐ可能性がある。こうした中、バニラエアやスクートなど8社は航空連合を設立。運賃や乗り継ぎの経路について、加盟各社の路線から一括で選択できるようにして、利便性を高める狙いのようだ。

 運賃が片道でも安い、機材が新しいというメリットはもちろんあるが、逆に多くのデメリットを改善することで更に利用者が増えることとなるだろう。
 
 
 
 

関連カテゴリー