富士ゼロックス、アジア太平洋地域新興国において教材提供プロジェクトを開始

2014年6月5日 12時52分更新


 富士ゼロックス株式会社は2014年6月4日、事業展開をしているアジア太平洋地域の新興国を対象に、児童の教育格差解消を支援するために、自社のプロダクションプリンターを活用した教材提供プロジェクトを開始したと発表した。その端緒として、フィリピン・マニラ近郊の恵まれない地区に住む児童 約400人を対象に教材を提供、6月7日に現地で贈呈式を行ったという。

 教材提供プロジェクトは富士ゼロックスが全体を統括する。コンテンツを無償提供するパートナーと、印刷や物流費を負担するフィナンシャルスポンサーを募り、現地ニーズに合った教材を作成。作成された教材は富士ゼロックスのプロダクションプリンターで印刷、現地NGOを通じて児童へ提供し、学習支援が行われる。さらなる支援児童数の拡大を目指しており、タイ、ベトナムなどにのアジア太平洋全域で、今後10年間に10万人の児童への配布を計画している。教材は、株式会社学研ホールディングスが英語の自学習コンテンツを提供、富士ゼロックスのプロダクションプリンターで出力し、フィリピン・ブラカン州の、スラム街住民への住宅建設プロジェクトを推進する、現地NGOガワッ・カリンガの運営するビレッジの児童を対象に提供する。広く企業スポンサーを募りながら、今後同NGOが運営する他のビレッジの児童へも配布する予定だ。ガワッ・カリンガとは、タガログ語で「気にかける」を意味し、NGOとしては、市町村には建設地住居権の提供を、企業には建築材料費と建設作業のボランティア協力を求めている。現在フィリピン国内に2,000のビレッジがあり、60,000家族を支援している。富士ゼロックスフィリピンはこのプロジェクトに参画し、2007年に富士ゼロックス・ガワッ・カリンガ・ビレッジを建設した。

 富士ゼロックスが事業展開するアジア太平洋地域の一部の国や地域では、急速な経済発展に伴う貧富の差が大きな社会問題となっており、国連開発計画の目標のひとつとして「初等教育の完全普及の達成」が置かれている。これらの地域では貧困のため教材を購入できない、通学することができないなどの理由で、初等教育の修了率が低く、十分な教育を受けられない児童が多く存在しているのである。

 富士ゼロックスは企業理念の中で、「世界相互の信頼と文化の発展」を掲げており、「将来世代の人材育成」を社会貢献テーマのひとつとして定めているため、これまでにも弱視の児童・生徒のための「拡大教科書」製作支援活動や、アジア太平洋地域の人文・社会科学分野の研究の助成を行う「富士ゼロックス小林節太郎記念基金」を創設するなど、継続的な支援を行っている。

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