「水素産業分野」の世界の有望企業/大学研究機関の技術資産スコアランキング発表!

2021年7月7日 10時51分更新


 アスタミューゼ株式会社は、水素産業に関わる特許の分析をし、企業/大学・研究機関や国別の技術資産をスコアを算出、ランキング化し発表した。(一部抜粋)

 2010-2019年の10年間に出願された全世界の水素製造・利用・運搬・貯蔵に関する特許のインパクトスコアを算出。対象期間中には167,095件の特許が、計60か国から出願されている。
表1に、各企業が所有する特許のパテントインパクトスコア(※1)の最高値であるパテントエッジスコア(※2)のランキングを示した。
1位こそ韓国企業に譲ったものの、米国が上位20位の内12件と過半数を占めている。本領域において、米国が競争力のある技術の主たる開発地域であることがうかがえる。
1位のHyundai Motor Company、2位のCalifornia Institute of Technologyの特許はいずれも燃料電池に関するものだった。燃料電池に関する特許は11位のOneD Battery Sciences、15位のJohnson Mattheyにも見られる。また、日本から唯一20位以内にランクインした本田技研工業の特許は、燃料電池そのものではないが、燃料電池車両への水素充てん装置に関するものだ。燃料電池は水素産業において技術開発競争が盛んな領域の一つであり、用途としては自動車向けの割合が高いことが示されている。
2位はCalifornia Institute of Technology、7位のUniversity of Southern Californiaなど、アカデミアからのランクインが多いことも水素産業の特徴として挙げられる。一部水素関連技術は産業への応用、製品上市が始まっているものの、まだ基礎研究の割合も高く、まさに開発途上の分野と言えるだろう。

順位企業名国名パテン
トエッジスコア
1Hyundai Motor Company韓国161.19
2California Institute of Technology米国131.66
3Gas Technology Institute米国129.65
4Pioneer Energy Inc米国128.04
5G4 Insights inc.カナダ126.20
6Washington State University米国126.14
7University of Southern Callfornia米国124.94
8McAlister Technology Iic米国124.89
9University of Wollongongオーストラリア124.21
10Calera Corporation米国123.90
11OneD Battery Sciences米国120.91
12French Alternative Energies and Atomic Energt Commissionフランス120.88
13Korea Institute of Science and Technology韓国120.79
14Air Products & Chemicals米国120.09
15Johnson Mattheyイギリス119.37
16Exelon Corporation米国119.28
17Exxon Mobil Corporation米国118.99
18Chinese Academy of Sciences(中国科学院)中国116.95
19Honeywell UOP米国116.77
20本田技研工業株式会社日本116.59

表1:2010-2019年間のパテントエッジスコア上記企業20社

※1)パテントインパクトスコア:他社への排他権としてのインパクト評価を中心に、更に地理的な権利範囲、権利の時間的な残存期間などを重み付けしアスタミューゼが開発した定量的な評価指標。
※2)パテントエッジスコア:競合他社に対して大きな脅威となりうる突出した特許を示すパテントインパクトスコアの最高値
※3)トータルパテントアセット:各社の特許ポートフォリオとしての総合的な競争力を計る指標

続いて、トータルパテントアセットを国別に算出し。国別のトータルパテントアセットは、競争力の有意な比較のため、母集団全体のトータルパテントアセットの8割を説明する上位894社を対象に集計している。
結果、日本のスコアは群を抜いて高く、首位となった。日本においてはトヨタ自動車のトータルパテントアセットが際立って高いが、仮に当社のスコアを抜いたとしても7,646,626であり、依然として日本は首位にある。
日本に続いて2位が中国、3位が米国、4位が韓国となった。2~4位の三か国は比較的近い値である一方、5位のドイツとは2倍以上の差があり、国別の特許競争力としては大きく首位、次点、5位以降の3つのグループに分かれている。
1~4位までの、特許一件当たりのトータルパテントアセットを見てみると、最高が244.1(米国)、最低が215.7(中国)。総合的な評価としては、各国で特許一件の強さに大きな差はないと言える。一方で、上位894社までのトータルパテントアセットの出願人別平均値を見ると、最高は19,873(日本)、最低は中国(2,330)と大きな差が見られた。日本では少数精鋭の企業や組織により当領域の技術開発が進められていることがうかがえる。一般的に、特許の権利の観点から、特許が分散して保有されているよりは集中している方が技術を利用しやすいと考えられる。日本は水素分野において、優れた技術を事業化しやすい環境にあると言える。

順位国別トータル
パテントアセット
1日本9,896,748
2中国4,979,043
3米国3619123
4韓国3,609,686
5ドイツ1,539,817
6フランス1,027,030
7イギリス664,769
8サウジアラビア174252
9台湾123,991
10デンマーク101166

表3:2010-2019年間の国別トータルパテントアセット上位10か国

出典:株式会社アスタミューゼ(https://www.astamuse.co.jp/)
レポート:全文をPDFでダウンロード
http://astamuse-co-jp-5741851.hs-sites.com/ja/corp-reportdl-210706_hydrogen-industry

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