就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」を運営する株式会社ヴォーカーズは、「上場企業の時給ランキング2016」を発表した。
今回の調査レポートでは、上場企業の有価証券報告書とVorkersに投稿されたデータから、企業による公開情報だけでは知ることが難しい、残業時間も含めた労働時間から上場企業各社の「時給」を算出している。
「時給」は、有価証券報告書による平均年収を、各社の標準労働時間及びVorkersに投稿されている平均残業時間(月間)から算出した年間勤務時間で割った金額となる。今回の集計では、上場企業1,484社を対象とし、純粋持株会社はランキングから除外されている。
■トップ3を総合商社が独占、トップの三井物産は時給6,000円超え
社員クチコミによる残業時間を加えて算出した「リアル」な時給ランキングにおいて、総合商社の三井物産、三菱商事、伊藤忠商事がトップ3を占める結果となった。10位以内では半数が総合商社となっている。トップの三井物産の時給は6,041円となり、唯一の6,000円台。今回集計対象となった上場企業全体の平均時給が約2,600円であることを考えると、倍以上の金額となっている。
・「20代後半で800万円ほど、30歳では1000万円ほど。(三井物産、女性)」
・「管理職以上になると基本給与も十分高いですが、それ以上に単年度での業績給与分が大きくなる傾向があります。同じ職位でも賞与額で200万円程度の差がでる特徴があります。(三菱商事、男性)」
・「52歳 部長 2000万円。成果主義と年功序列の組み合わせ。全社業績にリンクしている部分が多い。賞与は業績と定性評価の両建て。(伊藤忠商事、男性)」
■マスコミからは電通、WOWOW、食品からは味の素がランクイン
商社や医薬品業界が目立つ中、マスコミから電通が8位、WOWOWが29位にランクイン。激務のイメージがあるマスコミ業界だが、時給では電通が5,000円台、WOWOWが4,000円台をキープしている。また、食品業界からは味の素がランクインした。
・「他の企業に比べてはるかに給与基準は高く、30代前半で1000万円は当たり前である。(電通、女性)」
・「年俸制なので、35歳前後で受ける管理職試験までは5段階位のステージに分けられる。一般社員の一番上のステージ、34歳~、年収約800万前半。管理職試験に受かると、平均の評価で年収は1000万を超える。(WOWOW、男性)」
・「月給はそれほどでもないが、ボーナスがとてもいい。通算で7.5ヶ月分ほどでる。(味の素、女性)」
■残業時間で時給を下げた高年収企業、一方で残業が最も少なかった企業は国際石油開発帝石
高年収ランキング上位の常連であるキーエンス(1,649万円)、GCAサヴィアン(1,487万円)、日本M&Aセンター(1,386万円)だが、残業時間を見るとキーエンスは82.9時間、GCAサヴィアンは109.5時間、日本M&Aセンターは112.5時間と非常に多く、時給換算にするとランキング順位を下げる結果となった。
・「残業激務続きなので調整しづらい。平日は帰宅後睡眠のみ。(キーエンス、男性)」
一方で、トップ30の中で最も残業が少なかったのは14位の国際石油開発帝石で、19.4時間であった。年収ランキングでは30位圏外だが、ワークライフバランスの高さが時給を押し上げる結果となった。
・「プライベートとのバランスは調整しやすい。基本的に20時以降まで働いている社員はおらず、土日もきちんと休みを取ることができる。(国際石油開発帝石、男性)」
【データの収集方法】
「Vorkers」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集。
会社評価レポートの回答条件は下記の通り。
・社員として1年以上在籍した企業の情報であること
・500文字以上の自由記述項目と、8つの評価項目に回答いただくこと
・月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集
【対象データ(集計期間:2007年7月~2016年6月)】
Vorkersへのレポート回答が5件以上ある上場企業1,484社を対象とし、有価証券報告書に記載されている平均年収データ(2014年度)と、各社の月間標準労働時間(標準労働時間×20日として集計)及びVorkersに投稿されている「平均残業時間(月間)」から「時給」を算出。標準労働時間は各企業採用情報等より算出し、職種・勤務地により異なる場合は代表的な職種または本社の労働時間を採用。時給は小数点以下四捨五入、平均年収は千円単位で掲載。純粋持株会社はランキングから除外。