ふるさと納税寄付額、最も高い自治体は滋賀県野洲市で588.6倍

2022年8月2日 10時00分更新


 ふるさと納税市場の調査、分析やコンサルティングを提供する株式会社ふるさと納税総合研究所は、令和4年度ふるさと納税に関する現況調査の結果を発表した。

全自治体の令和3年度寄付額は8,302億円と対前年度1.23倍の伸び率。前年度5倍以上の高い伸びとなった自治体数は全自治体1,788の内46となった。また、全自治体平均の伸び率1.23倍を上回った自治体数は806となった。

「令和3年度ふるさと納税寄付額の自治体別対前年度伸び率を分析」の主な結果

■1位から10位
圧倒的な伸び率であった滋賀県野洲市の返礼品SK IIの登場は、令和3年度のふるさと納税ニュースでも大きな反響があった。あの世界的にも有名なP&GのSK IIが実は滋賀県で製造されていたと知ったのも驚きだった。
世界最大の日用消費財メーカーであるP&Gが最高峰ブランドでもあるSKⅡを返礼品として認めたところが、自治体や関係企業の熱心な働きかけの賜物と感じる。
2位大阪府太子町、5位京都府向日市、6位宮城県大河原町はいずれもフジ医療器、オムロン、アイリスオーヤマという消費者向け耐久消費財の有名ブランドの参入が功を奏したと思われる。
9位の北海道別海町は、上位自治体である根室市に隣接しており、元々魚介類は豊富な町。返礼品数が2000超と大幅に増加し、さらに返礼品の画像もきれいに加工されている。

■11位から20位
新型コロナの影響により生産活動や消費活動が変化した。返礼品でティッシュが数多く申し込まれたのは、ティッシュ不足のメディア報道がきっかけだった。11位栃木県佐野市で人気の返礼品エルモアはティッシュの有名ブランドであり、大容量も評価を得たようだ。
13位、14位はいずれも福岡県の香春町、鞍手町となった。福岡県は共通返礼品を充実させており、辛子明太子やもつ鍋など17品目の地域産品が対象になっている。そのため福岡県内のどの自治体での生産拠点があるかどうかに関わらず、返礼品にすることができる。その制度を上手に活用し寄付を大きく伸ばした。

■21位から30位
22位の千葉県大網白里市は令和元年が1,200万円ほどでしたので、まさにホップステップジャンプで寄付を伸ばしている。寄付は1万円からという常識が平成にはあったが今や1万円を割り込む寄付額で寄付者の数を増やしていく戦略。戦略返礼品はお米であり、競争力がある。
30位山梨県昭和町は、単価が倍になっています。貴金属やジュエリーの製造販売でネットショッピングでも販売上位の会社の返礼品が人気になっているようだ。ECで成果を出している会社が東京ではなく、地方に本社を構えていることも多くなっている。ネットショップを運営する企業は通常の企業より忙しい環境にあることが多く、ふるさと納税という新市場に手間をかけても参加したい気持ちになるような、丁寧な営業が重要になる。

■31位から40位
36位の北海道苫前町は道北に位置し、人口が約3,200人の小さな町。水産資源のブランド化に取り組んでおり、またシンプルな写真とコンパクトに差別化ポイントをまとめた返礼品コメントなどが功を奏している。
熊本県は返礼品の魅力があり、かつ見せ方も上手な自治体が多くある。37位熊本県津奈木町は、返礼品数は少ないものの牛肉に集中しサムネイルや画像、ストーリーを強化した結果が出ている。

■41位から46位
泉佐野市はふるさと納税を代表する自治体。令和2年度22億円から5倍以上伸ばして100億円を越えるという凄まじい実質伸び額だ。返礼品の見せ方、こだわり、プロモーション、スピード、アイディア、柔軟性、組織構造、人事はマーケットインの考え方であり、従来の自治体の延長線上にはない。自治体はこうあるべき論を壊して、結果を出してきた自治体だ。そのため、その評価は様々ではあるが、ふるさと納税業界においては革命児とも言える自治体だ。

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