「地域ブランド調査2021」北海道13年連続1位ーブランド総合研究所

2021年10月11日 10時59分更新


 株式会社ブランド総合研究所が実施した「地域ブランド調査2021」の結果を発表した。全国で最も魅力的な都道府県は13年連続で北海道となった。市区町村では札幌市が1位、函館市が2位と上位を独占した。

 この調査は国内1000の市区町村及び47都道府県を対象に、全国の消費者35,489人から有効回答を得て集計したもので、認知度や魅力度、イメージなど全89項目から構成。2006年から毎年実施しており、今年が16回目となる(都道府県の調査は2009年から13回目)。

今回の調査結果では、多くの自治体で魅力度や観光意欲度などの評価が大幅に上昇。コロナ禍で都道府県を超えた移動がままならない中で、地域への関心が高まったためと思われる。今後、こうした関心の高まりを観光集客や商品販売、移住促進などにつなげ、地域の発展と持続性向上に結び付けることが重要なポイントとなるだろう。調査結果は以下。

■各地の魅力度が上昇

 都道府県の魅力度について過去10年の平均推移をみると、2016年以降は上昇傾向にあるが、2021年は最も大きく上昇している。市区町村平均は2014年から上昇傾向にあるが、都道府県と同様に2021年が最も大きく上昇している。

都道府県の魅力度ランキング

順位都道府県魅力度(点)
2021202020212020
1(1)北海道73.4(60.8)
2(2)京都府56.4(49.9)
3(3)沖縄県54.4(44.1)
4(4)東京都47.5(36.4)
5(6)大阪府42.0(31.9)
6(5)神奈川県40.0(34.7)
7(9)福岡県37.5(29.6)
8(11)長崎県33.9(25.9)
9(7)奈良県33.4(30.6)
10(8)長野県32.5(30.5)
10(10)石川県32.5(29.2)

(魅力度県上位10位)

 都道府県の中で最も魅力度が高かったのは北海道で都道府県の調査を開始した2009年より13年連続での1位となった。魅力度の点数は73.4点で、前年の60.8点から12.6点も伸び、47都道府県で最も点数が上昇している。
 北海道を「とても魅力的」と答えた人は57.6%で、前年の40.9%より大幅に増えている。また、「やや魅力的」と答えた人は31.5%いるため、両者を合計するとおよそ9割近い回答者が北海道を「魅力的」と答えていることになる。一方で、「あまり魅力的でない」と「全く魅力的でない」の合計は1.0%と少ない。
 2位は京都府で、13年連続で2位。点数は前年の49.9点から56.4点へ上昇した。「とても魅力的」との回答が36.1%と前年の29.4%より増加している。大阪府は前年より10点以上上昇して42.0点で、順位も5位。点数、順位ともに過去最高となった。

■千葉県、宮崎県の魅力度が急上昇

 都道府県で北海道の次に伸びが大きかったのは東京都。調査直後に開催となった東京オリンピック・パラリンピックの影響の可能性が大きい。
 次に高かったのは千葉県で、前年の21位から12位へと急上昇。「とても魅力的」が11.0%で前年の3.9%のおよそ3倍となった。特に20代では24.6%と多く、前年の6.3%のおよそ4倍に増えている。
 長崎県も前年の11位から8位へと上昇。すべての年代で評価が高まっている。宮崎県は前年の22位から17位へと5つも順位を上げた。「とても魅力的」が9.4%で前年の4.4%から2倍以上に増えている。特に九州や中国・四国の居住者からの評価が高い。

■軽井沢が急上昇。宮古島など離島も人気
市区町村の魅力度ランキング

順位市区町村魅力度(点)
2021202020212020
1(2)札幌市63.9(51.3)
2(2)函館市62.8(51.3)
3(1)京都市62.0(51.9)
4(5)小樽市56.1(46.9)
5(7)鎌倉市54.8(44.6)
6(4)横浜市52.0(48.1)
7(6)神戸市50.4(44.8)
8(20)軽井沢町49.2(33.3)
9(8)金沢市48.6(43.8)
10(9)富良野市48.5(43.7)

(魅力度上位10位)

 市区町村で最も魅力度が高かったのは札幌市で、2012年以来となる9年ぶり7度目の1位となった。同市を「とても魅力的」と答えたのは45.3%で、前年の29.0%から大幅増となった。
 2位は函館市で、1位と2位を北海道の市が独占した。北海道からは4位に小樽市、10位に富良野市、26位に釧路市、29位に帯広市、30位に登別市、34位に旭川市と多くの市が上位にランクインしている。

札幌市より魅力度が伸びたのは3市町で、その中で最も伸びが大きかったのは軽井沢町だった。「とても魅力的」が27.6%で、前年の13.3%より2倍以上に増えたことで、点数は49.2点と前年(33.3点)より15.9点の上昇。順位も8位(前年20位)になった。
 同町の観光意欲度の順位が20位(前年25位)であるのに対し、居住意欲度の順位13位(同20位)の方が上で、その伸びも大きい。ワーケーションの対象として人気を集めている可能性がある。

■認知度より魅力度、観光意欲度の上昇が大きい

主要指標の平均(都道府県)

指標単位2021202021/20
認知度50.547.61.06
情報接触度40.438.81.04
魅力度26.421.51.23
居住意欲度11.19.51.17
観光意欲度42.134.81.21
食品想起率%22.317.11.30
産品想起率%3.52.31.52

主要指標の平均(市区町村)

指標単位2021202021/20
認知度25.023.21.08
情報接触度16.816.11.04
魅力度11.09.21.20
居住意欲度6.25.61.11
観光意欲度22.518.91.19
食品想起率%5.04.21.19
産品想起率%1.00.91.11

(主要項目平均比較)

 魅力度以外の指標も前年より上昇している。都道府県と市区町村において、主要指標の2年間の平均点とその伸び率(前年比)を一覧表にした。47都道府県の平均では、2021年の認知度は前年比で1.06倍、情報接触度は同1.04倍となっており、前年からの伸びは数%に過ぎない。ところが魅力度は1.23倍、観光意欲度は1.21倍と、いずれも対前年比で20%以上の伸びとなっている。また、食品想起率は1.30倍、産品(非食品)想起率は1.52倍と、産品の購入意欲度もかなり上昇している。
 1000市区町村の平均でも同様の結果となっている。認知度や情報接触度は数%の伸びにとどまっているのに対し、魅力度や観光意欲度は20%近い伸びとなっている。
 ただし、すべての自治体で魅力度が上昇しているわけではない。前年と比較可能な995市区町村のうち、前年より上昇したのは759で、およそ2割に当たる200は前年より低下している(変化なしが36)。また、観光意欲度では上昇したのは959と9割を超えているが、低下したのは32、変化なしが4市区町村あった。

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