札幌市の除排雪満足度、「討論型世論調査」で上昇の傾向

2014年9月1日 17時03分更新


 札幌市は慶應義塾大学DP研究センターと共同で、政令指定都市として全国で初めて「討論型世論調査(Deliberative Poll)」を実施し、その結果を発表した。「討論型世論調査」は「世論調査」と「討論フォーラム」の2つから構成される社会調査の方法であり、討論過程前後の意見の変化を探るものだ。テーマは札幌市が毎年行っている市政世論調査において、長年市政に関する要望の第1位となっている「除雪」を含めた『雪』となっている。
 「討論型世論調査」として、まず1~2月にかけて無作為抽出した18歳以上の札幌市民3000人を対象に除排雪などに関するアンケートを行い(回収は1368件)、このうち205人が論点を整理した資料を事前に確認した上で、3月に雪対策(除雪水準や費用負担の問題など)について考える「討論フォーラム」に参加。フォーラム前後にもアンケートを行い、意見の変化を調べている。

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 その中で札幌市の除雪・排雪満足度について扱っており、資料や討論を通じて年間150億円の予算や業者不足などの実情を理解することにより、満足度の上昇が見られる結果となった。満足度は7段階で調査しており、例えば幹線道路の除雪に関しては無作為アンケート時の満足度平均値は4.2であるが、資料を読み、討論に参加した後のアンケートだと4.9まで上昇している。排雪も3.6から4.6に上がった。生活道路の除排雪については、低い水準でながらも上昇が見られる。市は「今後の施策に反映したい」としている。

 地方自治体の取り組みとして非常に興味深い結果が出ている。公共サービスは必要とされながらも、予算や人手の都合でどうしても十分手が回り切らなく、市民に不満をもたれてしまうことがある。しかし自治体側の苦しい状況は中々伝わらず、一方的に怠慢だと非難されてしまうケースもあるだろう。不満を持たれるならば改善すべきだが、その改善に当たって実情をよく鑑み相互理解に努めることで、現実的な問題解決を図ってもらいたい。

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